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番外編 ヒット商品、ネーミングの決め手 【青天の霹靂】

2015年10月10日に発売された「青天の霹靂」(青森県 特A米 新品種)。
それは全国からの公募で集まった11,049件のうち、たった1案だけ応募されていたネーミングでした。

マーケティングに関係する大学教授等の専門家や消費者団体、集荷団体からなる11名で構成する「新品種名称選考委員会」が、11,049件から200件、次に20件、そして最終5案に絞り込んだ後、最終的に青森県が選定したそうです。

本来の意味は、【青く晴れ渡った空に突然激しい雷鳴が起こることから、予期しない突発的な事件が起こること】とし、良し悪し両方の意味にとれますが、どちらかというとネガティブなイメージを持つ人のほうが多いのではないでしょうか。そんなネーミングが最終候補に残ったのは、応募者のネーミングに込めた意味*のもつところが大きいと考えられます。

“青森の天からふりそそぐ自然からできた、
まるで青天の霹靂のように驚くほどおいしいお米をイメージ”


青森県が正式に発表した後の評価としては賛否両論ありました。 この慣用句自体がマイナスイメージしかない、美味しそうではない。「まっしぐら」「つがるロマン」「むつほまれ」などに比べて、漢字(字画)も多くてほとんどの人が霹靂の漢字を書けない、といったクレームもあったそうです。そういったクレームには、決定プロセスや意図を丁寧に説明することで対応しました。

そして「青天の霹靂」は、稲妻をモチーフにしたパッケージで発売され、発売後の評価は期待以上に良く、また、全国的にもそのネーミングで注目されました。
1度聞けば忘れられない力強さ、斬新でインパクトがある。あめかんむりに「壁」「歴」と覚えると意外と書ける、スラスラ書けるとかっこいい、という声も聞こえてきました。
不安視されていた流通でもトラブルはなく、結果的に「青天の霹靂」は2015年度・2016年度と2年連続で完売するヒット商品となりました。
応募数や得票数だけが決定手段ではないということを、あらためて考えさせてくれた「青天の霹靂」は、今年も順調に育っているそうです。(青天の霹靂、米日記より)

■ネーミングの意味
青天の「青」は、青森の青、「天」は遙かに広がる北の空。
「霹靂」は稲妻。稲に寄りそい、米を実らせる。
晴れ渡った空に突如として現れる稲妻のような、鮮烈な存在になりたいと考えた名前。
「おいしさに驚いて欲しい」という願いを込めて。

■ネーミング決定のための選択基準
一般的に公募やアンケートでネーミングを決める場合、応募数や得票数が多いものから順に選択する傾向があります。

  〈良い点〉
  ・万人受けするネーミングが選ばれやすい
  ・ネガティブな意味やイメージが少ない
  ・多数決で決まるので反対の声がでにくい

  〈注意点〉
  ・全体的に表現がまるくなってしまう (インパクトのある表現は好き嫌いがわかれる)
  ・既視感のある表現になることも多い

幅広い層がターゲットの場合は、ネガティブな意見やイメージをもたれないことはとても重要です。
しかし一方で、競合ブランドがあふれている中、他と似たようなネーミングやデザインでは注目されず、覚えてもらえないことも少なくありません。

ネーミングの決定時には、そのネーミングに何を求めるのか、何を伝えたいのか、といったことをブレずに考え続けることが必要です。
そうすることで、「美味しさ表現よりも、インパクトが重要」「安心感が一番」など、選択基準が明確になり、最適な1案を選ぶことにつながります。

(注:上記「青天の霹靂」に関する内容は、青天の霹靂ブランドサイト及び、青森県農林水産部様にご協力いただき掲載しております)