News Letter

VOL.140 他社の商標や、類似商標の使用はリスキーです

■他社商標に類似したトラブル例
IPAD
タブレットの草分け的な商品で、米国アップル社から発売されました。2000年に中国のIT機器メーカー、唯冠科技深圳(広東省)から商標権の侵害で訴えられていましたが、2012年に、6000万ドルで和解したと報道されました。アメリカでは先使用主義が存続していますが、世界の流れは登録主義です。アメリカ国内においては、三洋電機が「IPAD」を先に登録していたのですが、これについてのニュースは散見できません。重要な事は、販売予定国での商標調査と商標登録です。

SKYDRIVE
「SKYDRIVE」は当初、マイクロソフト社の提供する クラウドストレージとして導入されました。
しかし英国において、ペイテレビのBSkyB社から商標侵害の訴えを受けました。 実際に複数のユーザーが誤解したり、BSkyBのサポートセンターに連絡が入ったりしたそうです。 2013年には英国高等法院の判決を受けて、両社間で和解が成立しました。 現在、マイクロソフトは「OneDrive」にネーミングを変更しています。金銭的な和解の条件は公表されていませんが世界中のメディアへの説明を含めて、大きなコストが必要になった事でしょう。
※EU内では、各国毎に商標登録をする必要があります。 

■識別力のないネーミングの商標出願の例
IGZO
シャープは液晶パネルについて「IGZO」を2011年に商標登録していました。しかし2013年に科学技術振興機構が特許庁に商標登録の無効を求める審判を請求し、同庁が無効としました。 シャープは特許庁の審決を不服として、取消を求めていましたが、2015年知財高裁が請求を棄却しました。審決では「商標登録時には既に業界でインジウム・ガリウム・亜鉛酸化物を意味する語として広く認識されていた」と指摘されました。

さんぴん茶

沖縄で愛飲されている「さんぴん茶」。ジャスミン茶の中国語(香片茶:シャンピィェンチャ)からきており、スッキリした飲み心地が特徴です。1999年に、このネーミングは、東京の企業によって商標登録されました。これに対して、沖縄の製茶業界が結束し、「さんぴん茶は沖縄で普通に使われている名称である」として特許庁に異議申し立てを行いました。最終的には「さんぴん茶」の商標登録が取り消されました。

※「i Pad」は、アップルインコーポレイテッドの登録商標です
※「One Drive」は、マイクロソフトコーポレーションの登録商標です