中国新聞社電によると、2007年末までに中国の商標登録申請数は560万件を突破。うち300万件以上が登録を認められており、07年の申請受理は約70万8000件でした。このように商標申請数が増加する中で、日本の企業や団体にも影響を及ぼしそうな、中国や台湾での「日本の都道府県名や地域名、特産品」の商標登録出願が相次いでいます。
鹿児島 | 中国で「鹿児島」の名称が2004年9月に申請されました。この件について鹿児島県は「『鹿児島』は日本の県名として中国でも広く知られた地名である」として、2008年3月異議を申し立て、中国商標局に受理されましたが、結論が出るまで最低でも2~3年はかかるとみられます。 ほかにも「佐賀」や「青森」も中国や台湾で登録申請されたことが分かっています。「青森」については2008年3月、中国商標局が青森県の異議申し立てを認め、商標登録を認めないと発表しましたが裁定まで4年半の歳月を要しました。 |
コシヒカリ | さめてもおいしい日本産のコメは中国で高い人気があります。しかし、『コシヒカリ』や『ひとめぼれ』の中国表記である『越光』『一目惚』がすでに商標登録されているため、スーパーで発売されたコメの袋にも漢字ではブランドが表記できず、『新潟県産』『宮城県産』となっています。高品質で人気が高い日本の農産物などのブランド力を、将来的に商売などに利用する意図があるとの見方がありますが、詳しい実態は不明です。 |
さぬき | 台湾の台北市に進出した日本の讃岐うどん店が、「さぬき」「讃岐」などを商標登録している現地企業から抗議を受け「さぬきうどん」を名乗れなくなりました。台湾の冷凍うどんメーカーは日本の讃岐うどん店に対し「『さぬき』の看板を変えなければ、刑事告訴する」と抗議。 |
中国の富裕層などに向けて日本の食品輸出が増える中、上記と同じような事例が今後も多発することが予想され、自治体は地名をブランドと認識し、海外での商標登録の状況をこまめに監視し、地元にまつわる名称の出願があれば早めに異議申し立てをする必要がありそうです。また企業も登録が可能な商標は防衛策として海外での登録を迫られるケースが出てきそうです。