2007年2月サントリーは紙箱に入った黒烏龍茶のメーカーであるオールライフサービスなど二社を提訴しました。サントリーは事前に警告書をオールライフサービス社に送っていましたが、同社はパッケージの変更のみを行い、ネーミングは変更しなかったため、販売差し止めと損害賠償を求めて訴訟を起こしました。
■一般名詞は登録できない?「はちみつレモン」のケース
以前にもサントリーは「はちみつレモン」を販売しましたが、商標を取得していなかったため、数十社のメーカーから、同名の飲料が発売された経緯があります。「はちみつ」と「レモン」の一般名称の組合せですから、現在でもこのネーミングの商標取得は難しいと考えられます。一般名称的なネーミングは、商品のことがわかりやすい反面、商標で権利を守れない問題が発生します。
■サントリーは2006年に「黒烏龍茶」を商標出願しています
しかし「黒烏龍茶」を、黒い色の烏龍茶の商品名として使うことが問題と特許庁は指摘しています。2007年6月現在、「黒烏龍茶」は商標登録にはいたっていません。
■顕著(けんちょ)性とはなんでしょうか
オリジナリティ、独自性ともいえますが商標の世界の用語です。 商標の世界では一般名詞や人名、国名など、登録できない言葉も多く存在します。 これらの言葉は、一社の法人や個人の商標としての専有が適切でないと考えられるからです。これらのことからも、オリジナリティのあるネーミング開発が重要だと言えます。
■商標を取得しない場合は、どうなるか
商標の取得自体は、法人、個人、団体の任意事項ですが、商標登録をしない場合は(できない場合も)、上記「はちみつレモン」のように、他社の類似商品の追随やネーミングを排除できません。 商標権には独占権と、禁止権があるので、商標取得を前提に考えるべきでしょう。
■社名+一般名称のネーミングはどうなるか
現在、サントリーは、「サントリーはちみつレモン」で商標登録を受けています。しかしこのネーミングは、「社名+一般名称」なので、別の企業が「B社はちみつレモン」や「C社はちみつレモン」を販売しても、それを差し止めることができません。「図形+一般名称的なネーミング」も同様です。