店舗の外観や看板、メニューなどは、紛らわしいものがあってもなかなか類似かどうかの判断がむつかしいことが多いようです。古くは持ち帰り寿司チェーン「小銭寿司」や、外食産業の「リンガーハット」などで外観や看板の類似をめぐっての争いがありました。最近でも飲食業の「和民」と「魚民」が店名と看板の類似を争点に両社が互いに提訴し、2004年に和解した例があります。2005年11月には「まいどおおきに食堂」を経営するフジオフードシステムが、「めしや食堂」を経営するライフフーズを大阪地裁に提訴しました。内容は「めしや食堂」の店名や看板を変更するように、とのもので2007年2月時点でも係争中です。
■外食産業も知的財産を守り、活用する時代です
屋号(店名)やマークは、商標登録をすることによってその権利を守ることができます。したがって自社のサービス分野における商標分類での速やかな商標登録が基本です。
「スターバックス」を展開するスターバックスコーヒージャパン(株)もロゴや屋号など11種類を商標登録しています。同社も過去には「エクセルシオール・カフェ」を経営するドトールコーヒーと看板やロゴをめぐって争った経緯があります。 ※結果はエクセルシオールがロゴの色を変更することで和解しました。
■店舗外観は立体商標に該当するか?
店舗外観やその色彩などは立体商標として登録することが可能です。しかし「店舗自体が商標として広く一般に認知されているかどうか」、が重要な基準でなかなか登録に至らないのが現状です。 また屋号(店名)などを入れることが原則ですが、うまく商標登録されたからといって、よく似たデザインの他店舗をすぐに差し止めることができるかどうかはこれからの判例を待たなければなりません。メニューや内装については、その保護は難しいと考えられています。
店名・ロゴマーク | 店舗外観 | メニュー |
○ 商標登録が可能。 独占可能。 | △ 立体商標だが 認められにくい。 | △ 一般的なものは 保護が不可能。 |