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Column209. アジア大会マスコットのネーミング

2026年9月19日から10月4日まで、愛知・名古屋を中心に開催されている「第20回アジア競技大会」。
アジア各国・地域から集まったアスリートたちの熱戦とともに、大会を盛り上げる存在のひとつが、公式マスコットの「ホノホン」です。
また、10月18日からは「第5回アジアパラ競技大会」が開催され、こちらでは「ウズミン」というマスコットが活躍します。

今回は、「ホノホン」「ウズミン」の名前の由来とともに、歴代のアジア競技大会のマスコットを振り返りながら、マスコットのネーミングにはどのような発想が使われているのかを考えてみたいと思います。

炎の語源から生まれた「ホノホン」

「ホノホン」は、アスリートたちの心に宿る熱い想いが「炎」となり、愛知・名古屋の守り神であるシャチホコとひとつになって誕生した赤いマスコットです。
名前の由来となっているのは、炎の語源とされる「火の穂(ほのほ)」。
火が高く立ち上がって燃える様子が、稲穂の「穂」のように見えることから生まれたとされる言葉です。そこから、より親しみやすい響きになるように「ホノホン」と名付けられています。「ほのほ」から「ホノホン」へ、語尾を少し変えるだけで、炎が持つ力強さを残しながら、マスコットらしいやわらかさや親近感が加わっています。

「渦」と「泉」から生まれた「ウズミン」

一方、アジアパラ競技大会の公式マスコットが青い「ウズミン」です。
ウズミンは、ものづくり王国・愛知を支えてきた「水」と、愛知・名古屋の守り神であるシャチホコがひとつになって誕生したマスコットです。その名前は、「水」から発想を広げた「渦(うず)」と「泉(いずみ)」をもとに作られています。
パラアスリートたちの熱い想いが「渦」となって愛知・名古屋に集まり、そこで生まれた感動が「泉」のように湧き上がって、アジア中へ広がっていく――。
そんな大会への願いが「ウズミン」という一つの名前に込められています。

参考:
ホノホン公式ページ
https://www.aichi-nagoya2026.org/ja/official-mascot/

ウズミン公式ページ
https://www.asianparagames-2026.org/ja/official-mascot/

歴代マスコットから考える「名前のつくり方」

歴代のアジア競技大会マスコットは、名前のつくり方に大きく3つのタイプが見られます。

  1. その土地を象徴する「動物」型
    パンダの「パンパン(1990年/北京)」、アラビアオリックスの「オリー(2006年/ドーハ)」など、開催地を象徴する動物を起点にしたネーミングです。キャラクターはひと目で地域性を伝えられる、マスコットの王道ともいえる手法です。

  2. 大会への想いを込める「願い・メッセージ」型
    タイ語で歓声や万歳を意味する「チャイヨー(1998年/バンコク)」など、名前そのものに大会の理念や願いを込めるタイプです。「ウズミン」も、想いが渦となって集まり、感動が泉のように湧き上がり広がるという物語から、この手法に該当します。

  3. 地域の歴史や文化を伝える「文化・遺産」型
    杭州大会(2022年)の「琮琮(ツォンツォン)」「蓮蓮(リェンリェン)」「宸宸(チェンチェン)」のように、地域の世界遺産や文化、景観などを名前に取り入れる方法です。「ホノホン」も、火の穂という言葉の由来に着目しており、文化や言葉の背景まで掘り下げたネーミングといえます。

参考URL:
https://revsportz.in/from-honohon-to-appu-the-mascots-that-gave-the-asian-games-a-face/

親しみやすさを生む「畳語」というテクニック

もうひとつ、タイプを問わず多く見られるのが、同じ音や近い音をくり返す「畳語」です。

私たちは「反復ネーミング」とも呼んでいますが、「パンパン」「ポッポ/クック(1994年/広島)」「ビンビン(2018年/ジャカルタ)」「琮琮(ツォンツォン)」など、音をくり返すことでリズムが生まれ、覚えやすく、呼びやすい名前になります。

「ホノホン」も完全な畳語ではありませんが、「ホ」という音を生かしたリズミカルな構成で、炎の力強いイメージに親しみやすさを加えています。

マスコットのネーミングでは、何を意味する名前にするかという「意味の設計」と、どう呼ばれる名前にするかという「音の設計」の両方が大切だといえそうです。さらに、国際大会のようにグローバルで使用されるマスコット名では、国内での印象だけでなく、海外でどのように受け取られるかという視点も欠かせません。

意図しない意味やネガティブな連想がないか、発音しやすいか、親しみやすく受け入れられる響きかなどを確認するためにも、ネイティブチェックを行うことをおすすめします。