今、高級食パン専門店が空前のブームとなっています。1斤500円以上するにもかかわらず、人気店には連日行列ができています。
ところで、「パン屋らしくない」ネーミングの高級食パン専門店が多いように感じないでしょうか。今回はそれらの傾向をまとめてみました。
●「漢字表記」タイプ
・一本堂
・髙匠
・嵜本
・本多
既存のベーカリーに多いアルファベットやカタカナ表記ではなく、漢字を使うことで日本人ならではのこだわり感を表現しているものと推察されます。店舗づくりも比較的和風な世界観に寄せていることが多いようです。
また、後述の事例にも共通して言えることですが、今となっては漢字も含めた「日本語による表現」=「高級食パン専門店」であることの記号であるとも言えるかもしれません。
●「交ぜ書き」タイプ
・乃が美
・い志かわ
・銀座 に志かわ
・成り松
・とく川
全て漢字にするところを、敢えて一部ひらがなにしているパターンです。元々この手法は、江戸時代に寿司屋などの暖簾の数が3枚であることが主流だったため、1枚に1文字表記、つまり3文字にするために生まれたもの(例:中村/2文字→中むら/3文字)と言われています(※諸説あります)。
出自から考えると、4文字の交ぜ書きは理にかなっているとは言えないかもしれません。しかし、現在では「交ぜ書き」=「高級な店」とのイメージを抱く人も多いのではないでしょうか。文字数に拘るよりもイメージを優先するというのも戦略の一つです。
●「インパクト」タイプ
・どんだけ自己中
・わたし入籍します
・考えた人すごいわ
およそパン屋とは思えないネーミングですが、初見のインパクトは絶大で、SNSなどでも話題になりやすい表現です。運営会社はそれぞれ違うのですが、実は上記はすべて「ジャパンベーカリーマーケティング」という会社がプロデュースしています。
ただし、この手法はあくまでも変化球であり、慣れてしまうと急速に陳腐化してしまう恐れがあるということに留意が必要です。