世界が注目する中国市場において、会社や商品のイメージを伝えていくネーミングは、 今後いっそう重要な役割を果たしていくことが予想されます。
中国では漢字が生活のなかに定着しているため、英文ネーミングに対して中文ネーミングを併用することが多くみられます。 中国語ネーミングを開発する際には、発音を重視して当て字をする「音訳」か、意味を重視して当て字をする「意訳」か、またはこれらを併せた「混合型」の3パターンが考えられます。企業名と商品名の例をいくつか、パターンに分けてご紹介します。
(1)音訳 (発音重視)
シャープ/SHARP →夏普 ピンイン:xià pǔ/シァ プー
クー/QOO(コカコーラ)→酷儿(酷兒) ピンイン:kù ér/クー アー(ル)
フラジール/FRAGILE(三陽商会)→法瑞姫 ピンイン:fǎ ruì jī/ファ ルェイ ジー
(2)意訳 (意味重視)
熱さまシート(小林製薬)→退熱貼 ピンイン:tuì rè tiē/トゥイ ルァ ティエ
ファミリーマート/FamilyMart→全家 ピンイン:quán jiā/チュェン ジャ
マイクロソフト/Microsoft→微軟 ピンイン:wēi ruǎn/ウェイ ルァン
(3)音訳+意訳 (発音+意味の混合型)
スターバックス→星巴克 ピンイン:xīng bā kè/シン バー クァ
コカ・コーラ→可口可楽 ピンイン:kě kǒu kě lè/クァ コウ クァ ラ
※ピンイン(拼音)とは中国語の発音記号として用いられている文字体系
です。
これ以外にも、中国では地域の特性によって標準語や広東語などの「言語の違い」、大陸で使用される簡体字と台湾・香港で使用される繁体字などの「文字の違い」があります。
例:マイクロソフト/微软(簡体字)・微軟(繁体字)
コカ・コーラ/可口可乐(簡体字)・可口可樂(繁体字)
日本と同じ漢字を使用していても、意味が通じないケースや悪い意味が発生してしまう可能性があるため十分に注意する必要があります。
中国での商標申請数は年間100万件を超え、世界一の商標大国となっています。そのため、出願から登録までに3年~5年かかることもあり、2009年より商標局は増員を図って審査期間を1年以内に改善することを目標に掲げています。