2025年大阪・関西万博開幕から約2ヶ月が経とうとしています。
世界中の最新技術に触れながら未来の社会のあり方を考え、日本の技術を世界にアピールすることにも繋がる博覧会ですが、普段訪れることの難しい国でも世界中を旅行している気分になれるなどの声も多く、満足度調査では8割を超える方が「満足」と答えており、累計来場者数も500万人を越えました。
今回は大阪・関西万博にちなみ、過去に日本で開催された万国博覧会の公式キャラクターやモチーフを取り上げます。
2025年 日本国際博覧会 (大阪・関西万博)
公式キャラクター: 「ミャクミャク」
細胞(赤い部分)と清い水(青い部分)がひとつになったことで生まれた、正体不明な不思議な生き物です。
名称の由来:
人類文明や国際的なつながりを表す「脈」、そして「脈々」と受け継がれていく知恵や歴史、文化への希望が込められています。
2005年 日本国際博覧会 (愛・地球博)
公式キャラクター: 「森のおじいちゃん:モリゾー」と「森のこども:キッコロ」
愛知県瀬戸市にある海上の森に住んでいる、おじいちゃんとこどもの森の精です。
名前の由来:
モリゾーとキッコロは公募の中からそれぞれ別で選定されています。
まずはモリゾーには森のイメージがあり、一番親しみが持て覚えやすいという理由で選定されました。
そして「森のおじいちゃん」というモリゾーのキャラクター性との組み合わせに配慮しながら、更に森を支えるひとつひとつの要素となる木のイメージが「こども」だということになり、音の響き、かわいさ、覚えやすさも併せ持ったキッコロが選ばれました。
親しみやすい外見に加え、当時、社会的に地球温暖化や環境保護など環境問題への注目も高く、愛・地球博のテーマにぴったりあった象徴として、多くの人に受け入れられました。
愛・地球博の閉幕の際に、「森に帰る」という演出がなされましたが、20年経った今でも環境活動のために、みんなの所へ登場しています。万博終了後8年にわたりNHKで番組が放送されるなど、万博のキャラクターを越え愛され続けました。
1990年 国際花と緑の博覧会(花の万博)
公式キャラクター:「花ずきんちゃん」
森の中を飛ぶ花の妖精です。
名前の由来:
「森の中を飛ぶ花の妖精」というマスコットイメージに合致し、国際的にも「ずきん」にちなんだ物語や民話が多いことからイメージの広がりがあるという理由で、「花ずきんちゃん」に決定しました。
漫画家の手塚治虫氏が審査会の委員長を務め、花ずきんちゃんのプロモーションアニメは手塚治虫氏の遺作となったようです。
1985年 国際科学技術博覧会 (つくば万博)
公式キャラクター: 「コスモ星丸(ほしまる)」
人間・居住・環境と科学技術をテーマにした万博で、宇宙や科学技術の未来をイメージさせるデザインです。
デザインは公募によって選出されたものをベースに、イラストレーターの和田誠氏がブラッシュアップしたものです。
一方、ネーミングは公募ではなく、委員会がアンケート調査等を経て審査員が決定したものとのことですが、名前の由来に関する記録は残されていないようです。
1975年 沖縄国際海洋博覧会
公式キャラクター: 「オキちゃん」
会場で行われたイルカショーに出演したイルカを擬人化したキャラクターです。
名前の由来:
博覧会の開催地である沖縄県から親しみやすいとの理由で「オキちゃん」の名前が採用されました。
当時の会場では15匹のイルカが「オキちゃん」としてイルカショーに出演していました。
現在でも沖縄美ら海水族館(海洋博公園内)にある「オキちゃん劇場」では、イルカショーが開催されています。
1970年 大阪万博 (日本万国博覧会)
公式キャラクター:「太陽の塔」
当時、公式キャラクターは設定されていませんでした。
しかし、芸術家の岡本太郎氏が手掛けた「太陽の塔」が、万博のシンボルとして圧倒的な存在感を放ち、人々の記憶に深く刻まれています。
2027年 国際園芸博覧会 (横浜花博)
公式キャラクター:「トゥンクトゥンク」
次回の国際博覧会は、横浜市で開催予定の園芸博覧会です。
キャラクターデザインはコンペによるもので、アートディレクターの牧野惇氏の案が採用されています。
名称の由来:
デザイン発表と同時にネーミングが一般公募され、6076件の応募があった中から「トゥンクトゥンク」が選出されました。
トゥンクは「心臓の音、恋やときめいた時の音」を表しており、このマスコットを通して、人間が万物への想像力や調和の心をとりもどすことの大切さが広がってほしい、という想いが込められているとのことです。
万国博覧会では、それぞれの開催地の特色やテーマを反映したキャラクターやモチーフが採用されてきました。特に近年では、公式キャラクターが会場のシンボルとして、また広報活動の顔として大きな役割を担っています。