2025年10月、盛況の中で幕を閉じた大阪・関西万博。各国のパビリオンで興味深い展示品や催しが連日ニュースに取り上げられ、時には「徹夜万博」などもありました。そんな中、ひと際話題となったのは公式キャラクターである「ミャクミャク」です。見た目もさることながら印象的なネーミングも注目を浴びました。今回はミャクミャクのように同じ音を繰り返す反復ネーミングの種類についてまとめました。
●日本語型
- ミャクミャク :2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)公式キャラクター
脈々(途切れることなく長く続いていくさま)。
「脈々」と受け継がれてきた人間のDNAや知恵や技術、歴史や文化を未来に受け継ぐ思いが込められています。
また、脈は生命そのものであり、ミャクミャクという2音が続けることで命が続いている様を表現しています。
- ガリガリ君 :氷菓子
ガリガリ(かき氷をかじったときの擬音)+君(敬称)。
商品コンセプトは”遊びに夢中の子供が片手で食べられるかき氷”です。「ガリガリ」で決まりかけていた商品名でしたが、何か一つ物足りなさを感じていたところ、当時の専務が「『君』を付けよう」と提案して「ガリガリ君」となりました。
「君」を付けたことで、商品コンセプトを体現するわんぱくな子供”ガリガリ君”という商品名と同じ名前のマスコットキャラクターも生まれました。
単語繰り返し型
- キレイキレイ :殺菌・ウイルス対策ブランド
汚れを落として「キレイ」と殺菌して「キレイ」。
“家族みんなで楽しく手洗いできる”習慣を目指し、手洗い時に親子で一緒に「キレイキレイしようね!」と言いやすく、子どもが進んで手洗いしたくなります。
- PayPay (ペイペイ):キャッシュレス決済サービス
Pay(支払う)。
決済サービスであることを明確に伝えるため、分かりやすく「Pay」という単語を使用し、さらに繰り返すことで、ユーザーにより強い印象を与えています。
- Francfranc (フランフラン):インテリアショップ
Franc(フランス語:率直な、正直な、誠実な、自由な、純粋な)。
普段の気取らない生活の中で”今”という感性を軽やかに、豊かに表現し、「ひとりひとり」の住空間にfrancを届けていきたいブランドコンセプトが込められています。
●造語型
- TOTO (トートー ):住宅設備機器メーカー
創業時の社名「東洋陶器(Toyo Toki)」の略したもの。
電車や自動車など速く移動するスピード社会が到来したことで、乗り物から看板やネオンを見たときに読みやすいシンプルなデザインロゴとなっています。
- WOWOW (ワウワウ):衛星放送局
WOW(驚き・感動の感嘆詞)。
「WOW」を2つ重ねて、驚きの高画質・高音質とエンターテイメントへの感動を表現しています。
また、3つのWは「World Wide Watching」の頭文字で、”世界中から集めた良質のエンターテイメントをご覧いただく”というチャンネルの姿勢も込められています。
● 番外編
- パンダの名前 /例:ランラン(蘭蘭)、シャンシャン(香香)、レイレイ(蕾蕾)
中国では、繰り返す名前には”○○ちゃん”のような相手をかわいがるニュアンスが含まれています。
同じ音を繰り返す名前でないといけないというルールはないものの、公募時に案が集まりやすいことや、覚えやすく呼びやすいことなどから、結果的に繰り返しの名前が付けられてきました。
反復ネーミングは、繰り返しのリズムが心地よく響くため、無意識のうちに記憶に残りやすいと考えられます。また、日本語には日常的に反復語(オノマトペ)が多く使われていることから、親しみやすさ・明るさ・楽しさといった好印象を与えやすい点も特徴です。
さらに、通常は商標登録が難しいとされる短く分かりやすい単語でも、反復によって独自性が生まれるため、商標登録の可能性が高まる傾向があります。