「ブランド名は知っているけれど、どこが発売しているか知らない」という経験、皆様にもあるかと思います。そのようなケースは下記のような理由で“あえて”社名を前面に出さないという戦略を取っているようです。
・社名にブランド感がない、もしくは、海外で社名が通じない
(ただし、社名も変えたくない)
・社名から持たれるイメージと商品イメージにギャップがある(価格帯など)
・業務用と家庭用など、事業によって区別したい
ところで、最近、社名とブランド名の関係について印象的な出来事が2つありました。
●ブランド名が社名になった/SUBARU…旧・富士重工業
SUBARUはレガシィやレヴォーグなどで知られる自動車ブランドですが、富士重工業は本来、自動車に限らず航空・宇宙事業も手がける総合重工メーカーでした。
富士重工業の認知度はSUBARUより低い状況だったようで、2017年の創業100周年を機に、一事業ブランド名であった「SUBARU」が社名へと格上げされました。
●社名よりもブランド名を強化することになった/GS(Grand Seiko)…セイコーウオッチ
これまでセイコー社の時計は低価格帯から高価格帯まで全て文字盤の12時位置に「SEIKO」のロゴがあることがお約束でした。フラッグシップブランドのGrandSeikoについても12時位置に「SEIKO」、6時位置に「GS」のロゴが配置されていましたが、2017年モデルから「SEIKO」のロゴを廃止、「GS」のロゴのみを文字盤に配するデザインにリニューアルされました。
日本の腕時計メーカーは世界的にも認知度が高い一方、スイスなどの高級腕時計メーカーと比べて低価格帯のイメージが付きがちなのが課題です。今回のGSのケースは、社名を前面に押し出しすぎないことで、商品のブランド価値を引き上げる狙いがあるようです。
・社名より目立つブランド名の例
Lexus…トヨタ自動車(高級自動車)
Uni…三菱鉛筆(文具)
Butterfly…タマス(卓球用品)
ムヒ…池田模範堂(かゆみ止め薬など)
オーマイ…日本製粉(家庭用パスタなど)
・ブランド名が社名になった例
Panasonic…旧・松下電器産業(家電製品など)
バスクリン…旧・ツムラライフサイエンス(入浴剤)
WOWOW…旧・日本衛星放送(衛星放送)
NTTドコモ…旧・エヌ・ティ・ティ移動通信網(移動通信事業)