News Letter

NL171 図案化した文字の識別力

*このニューズレターは、2024年7月に開催された三枝国際特許事務所主催のセミナー内容を抜粋し、当事務所の監修を受けて作成。

一般名称など識別力のない文字を商標登録したい場合、文字の図案化という方法が考えられます。
図案化された文字は、見るだけでブランドの印象やメッセージを瞬時に伝える力を持っており、商標登
録することができればブランド戦略においても効果が発揮されます。
では、識別力のない文字を、どの程度図案化すればよいのでしょうか?
文字の図案化の主な手法には、以下のパターンがあります。

●書体・フォントの特殊化・形状加工
(筆文字・毛筆体化、モノグラム化、イラスト化、図形化、縁取り、文字の欠落・接合、etc)

●色彩加工 (配色、グラデーション、etc)

●文字の配列・傾き・大小のバランスの変更

●図形の付加

結論として、文字をどの程度図案化すれば識別力が認められるかの判断は、容易ではありません。
識別力の判断基準としては、「指定商品・役務を取り扱う業界において、その図案化が普通に用いられ
ている実情があるかどうか」という点が重要です。
したがって、図案化の手法に斬新性があれば、識別力が発生する可能性があります。
しかし、「普通」という言葉は広義に解釈できるため、明確な基準は存在しないのです。

最近の識別力に関する判断傾向についてご紹介いたします。 以下の商標は、識別力が認められており
ます。 今後、商標登録を検討される際のご参考になれば幸いです。

●単純に筆文字風にしただけでは、識別力は認められにくい。 可読性を下げる必要がある。

●色彩・色彩の付す箇所、文字の配列・大小等も総合的に考慮され得る。
 (いずれも拒絶査定不服審判にて登録)

●文字の一部や全体を図形化・記号化してロゴ化する場合は、比較的識別力が認められる。
 (=文字が一種の図形に見えるように加工する)(いずれも識別力欠如のOAなしで登録)


また、一般名称の商標登録や商標全般に関するお悩みがございましたら、顧問特許事務所である三枝
国際特許事務所と連携し、担当弁理士をご紹介することも可能です。どうぞお気軽にご相談ください。