世界的に環境問題への関心が高まる中、新商品でも環境に配慮していることをアピールした商品が増えています。ひと口に環境配慮型商品と言っても、様々な切り口のネーミングがあります。今回は環境配慮型商品のネーミングをタイプ別にご紹介し、またEUなどで広がる環境表現の規制についてもご説明します。
- 環境そのものからの発想
使用ワード→ECOLOGY(自然環境)、GREEN(緑の地球をイメージ)、BLUE(青い地球をイメージ)など
ある意味環境配慮型商品の王道とも言える表現です。環境配慮がイメージしやすく、緑や青は同色のロゴなどにも展開しやすいメリットもあります。
例
・ECOジョーズ(東京ガス/給湯熱効率が向上した給湯器)
・GREEN KEWPIE(キユーピー/サステナブルな食を展開する新ブランド)
・BluEarth/ブルーアース(横浜ゴム/低燃費タイヤ)
・未来にecoペコボトル(花王/ペコッとつぶせて、捨てる時にかさばらない新つめかえ容器)
- サイクル・循環からの発想
使用ワード→CYCLE(循環)、RECYCLE(リサイクル)、REUSE(再使用)、LINK(輪)など
商品をリサイクル、リユースすることで資源を循環させて地球環境への配慮を表現したネーミングです。
例
・TOWANOWA/トワノワ(住友ゴム/タイヤ事業におけるサーキュラーエコノミー構想)
・RE.UNIQLO/リユニクロ(ユニクロ/全商品をリサイクル、リユースする取り組み)
・EneCle/エネクル(エネクル/総合エネルギーサービスブランド)
- 省エネからの発想
使用ワード→ENERGY(エネルギー)、SAVING(節約する)、省エネなど
エネルギーを節約でき、家計にも優しいことをアピールしたネーミングです。ユーザーメリットが感じられやすい表現と言えます。
例
・ENASAVE/エナセーブ(ダンロップ/低燃費タイヤ)
- 環境への意識からの発想
使用ワード→SUSTAINABLE(持続可能な)、SDG‘s、INSIGHT(洞察)
例
・INSIGHT(本田技研工業/ハイブリッド自動車)
・PRIUS※(トヨタ自動車/ハイブリッド自動車) ※PRIUSはラテン語で「~に先駆けて」の意味
◆EUの規制事例
グリーンウォッシングという言葉をご存じでしょうか。環境に配慮したように見せかけて、実際はそうではない商品やサービスを提供すること、を意味する言葉です。
欧米の環境活動家が使い始めて広がった言葉ですが、環境意識の高まりと共に、最近では日本でも注目度が高くなっています。
JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)のレポートによりますと、EU理事会(閣僚理事会)は2024年2月20日、グリーンウォッシング(実質を伴わない環境訴求)を禁止する指令案を正式に採択しました。
指令案は、グリーンウォッシングを用いたマーケティング方法を禁止することで、消費者が製品を購入する際に、適切な情報を得た上で判断できるようにすることを目的としています。
環境訴求に関しては、測定可能な目標や達成期限など現実的な実施計画を伴い、独立した第三者機関による定期的な検証を受けた、明確かつ客観的で検証可能なコミットメントがない場合、誤解を招くマーケティング方法として禁止しています。その上で、原則禁止とするマーケティング方法として次の4点を明示しています。
1.実証できない一般的な環境訴求。
具体的には、「環境に優しい」「エコロジカル」「グリーン」「自然に優しい」「エネルギー効率の良い」「生分解性」「バイオベース」などの表示を用いたマーケティングを禁止すること。
2.製品や企業活動の一部にのみ該当する環境訴求をもって、製品や企業活動全体に関する環境訴求を行うこと。
3.カーボン・オフセット※のみに基づき、環境への悪影響が軽減されたなどと訴求すること。
※企業が他の場所で実現したGHG排出削減や吸収量などをクレジットとして購入することで、自らの経済活動でGHG排出量の全部あるいは一部を埋め合わせること。
4.承認済みの認証スキームあるいは公的機関以外が提供する持続可能性に関するラベルを表示すること。
今後、EUはもちろんグローバルで商品を展開する企業は、こうした規制も考慮して新商品のネーミングやロゴを考案する必要が出てきそうです。