任天堂が「草」を商標出願というニュースが話題となっているようです。出願日は2019年6月7日なので、今年の年末以降には登録されるかどうかの結果が出ていると考えられます。
商標の分類は第28類で、指定商品は「ゲーム用具、ゲーム用トレーディングカード、カードゲーム用具及びその附属品、カードゲームおもちゃ及びその附属品(以下省略)」などとなっています。
一般的には「草」が商標として機能するとはあまり考えられませんが、任天堂は、これ以外にも「炎」、「水」、「雷」、「鋼」、「悪」、「闘」なども出願しており、同社及び関連企業が発売している「ポケモンカードゲーム」のゲーム内パラメータである「属性」の名称を商標登録しようという意図が推測されます。
漢字一文字だと商標登録できないのでないかと考えられる方も多いかと思いますが、漢字一文字を理由に拒絶されることはありません。実際にサントリーの高級ウイスキー「響」などのように商標登録されている例は多数見受けられます。
拒絶される可能性があるとすれば指定商品に対して普通名称であったりする場合が考えられます。例えば「清涼飲料水」を指定商品としていれば商標「水」は拒絶される可能性が高いです。しかし、指定商品が「カードゲーム、おもちゃ」である場合、「草」が普通名称であるとは断言できませんので、今後の審査結果が注目されます。
また漢字一文字ネーミングの特性として複数の読みが存在するということもあります。例えば「草」の場合は「くさ」以外に「そう」という読みが発生するため「SOU」「創」などの商標と類似と判断される可能性も考えられます。
■漢字一文字ネーミングのメリット
・一文字と短いので覚えやすい
・漢字は表意文字なので意味が想起しやすい
・文字を大きく表示できるのでロゴとしてインパクトを出せる
■漢字一文字ネーミングのデメリット
・漢字独特の世界観があるので使うジャンルが限られる
・複数の読みが発生するため商標登録がやや困難となる
※日本酒のネーミングなどでは過去に同音異義語で非類似と判断された事例もあります
以下に漢字一文字で商標登録されている例を何点かご紹介します。
■漢字一文字で商標登録されている例
・「響/HIBIKI」 ブレンデッドウイスキー(サントリーホールディングス)
・「純」 甲類焼酎(宝ホールディングス)
・「熟/じゅく」 カレールゥ(江崎グリコ)
・「爽∞SOH∞そう」 アイスクリーム(ロッテ)
・「煌/ファン」 烏龍茶(ザ・コカ・コーラ・カンパニー)