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最新ネーミング事情 Vol.183オリンピックと国名コード(IOCコード/IPCコード)

パリ2024オリンピックの開幕

2024年7月26日に第33回オリンピックPARIS2024が開幕しました。古代ギリシャで始まったとされるオリンピックは、1896年にアテネで近代オリンピックとして復活して以降、多くの国と地域が参加する国際的なイベントとなりました。

国名コードの必要性

オリンピックの成長に伴い、選手リストや競技結果の管理、公式報告書の作成などで、スムーズな情報管理が必要となりました。そこで導入されたのが、アルファベット3文字で構成されている国名コードです。国際オリンピック委員会(IOC)と国際パラリンピック委員会(IPC)が定めるこの国・地域名コードは、「IOCコード/IPCコード」と呼ばれ、スポーツ大会での使いやすさを重視し、国や地域の英語名に基づいて決められています。

初めての導入

国名コードが初めて導入されたのは、1956年のコルチナ・ダンペッツオオリンピック(冬季大会)と1960年のローマオリンピック(夏季大会)です。これにより、競技の進行が円滑になり、メディアや観客にとっても理解しやすくなりました。当時、テレビ放送が普及し始め、世界中の視聴者がオリンピックを観戦するようになりましたが、国名コードによって、テレビの前の視聴者も瞬時に各国の選手や競技結果を理解できるようになったのです。

導入された当初は、開催国の言語に基づいたコードが多かったため、日本のコードも現在の「JPN」ではなく、「GIA」(イタリア語のGiappone《日本》に基づく)でしたが、1972年冬までに現在のものに固定化されました。

(出典: Wikipedia 「IOCコード一覧」)

現在の国名コード

現在、国だけではなく、一部の地域や自治領も独自のコードを持つため、国際オリンピック委員会が承認している国・地域名コードは206個に上ります。これらのコードは、オリンピックだけでなく、他の国際スポーツイベントや多くの国際的な活動においても使用されています。今後も、社会情勢の変化や、新たに独立する国や地域、国名の変更などに伴い、新しい国名コードが導入されることもあるでしょう。例:難民選手団「EOR」(仏語:Équipe Olympique des Réfugiésの略語)、英語では「Refugee Olympic Team」など

オリンピックの精神は、国や地域の違いを超えて、スポーツを通じて世界が一つになることを目指しています。国名コードは、その象徴ともいえる存在です。世界中のアスリートが競い合う姿を応援しながら、国名コードについてもぜひ注目してみてください。