政府の要請により、2021年3月から、携帯大手3社が新料金プランをスタートしました。
半年ほど経った現在、若年層を中心に契約を伸ばしているようです。
新料金プランの名称で気になるのは、「プラン名」というよりも「ブランド名」のように見えるという点です。
今回はこの点も含め、各社のネーミングについて取り上げてみました。
- ahamo(アハモ)/NTTドコモ
ネーミングには以下の3つの意味を込めているとのことです。
- 「未知の物事を瞬時に理解すること」を意味する「アハモーメント」
- 「なるほど」という相づちの英語表現「Aha」
- 「楽しい時にアハハと笑う」感嘆詞としての「アハ」
大手3社の中で先陣を切って発表されたプランですが、「元々サブブランドとして考えられていたのではないか」という説が根強く残っています。
- 2020年10月時点で、「新ブランドを立ち上げる」との報道があった
- 当初はドコモユーザーでもMNP手続きが必要とされた(最終的には手続き不要に)
- WEBサイトの料金プランのページで、「ahamo」のみドメインが「docomo」ではない
- キャリアメール(docomo.ne.jp)が使えない
上記などが根拠となっているようです。
※NTTドコモは当初よりメインブランドのプランとして企画していたとの見解を示しています。
いずれにせよ、ネーミングが「プラン名っぽくない」というのも、「元々サブブランド説」を後押しする一因になっているものと考えられます。
- povo(ポヴォ)/au
pov(point of view「視点」)とab ovo(ラテン語で「卵から・最初から」)を組み合わせ、新たな視点によるサービスの誕生、そして成長を意味しているとのことです。
当初auからは「データMAX 5G with Amazonプライム」というプランが発表されていましたが、先行して発表された「ahamo」と比べ、料金体系が複雑なことから消費者には不評でした。
その後方針転換し、「povo」が発表されることになったのですが、こちらのネーミングも「プラン名っぽさ」がかなり薄れており、「ahamo」への対抗心が伺われます。
- LINEMO(ラインモ)/Softbank
前身はメッセンジャーアプリの「LINE」が提供する「LINEモバイル」です。
ソフトバンクが子会社化し、「ahamo」対抗する形で料金体系をリニューアル。「Softbank on LINE」という仮称を経て、「LINEMO」の名称で再スタートしました。
実は「LINEMO」は「ahamo」「povo」のような「プラン名」ではなく、「サブブランド」として定義されています。LINEMOの公式Twitterにも「ソフトバンクの新ブランド」であることが明記されています。
そもそも、「ahamo」が何故「サブブランド」ではいけなかったのかという点ですが、政府の要求が、ニッチな「サブブランド」ではなく、多くの国民が利用する「メインブランド」の値下げであったことが理由なようです。
LINEMOについては、定義上は「サブブランド」ですが、「“ソフトバンク”の新ブランド」という形で、メインブランドの名称も前面に出していることから、特に問題視されていないものと推察されます。
実際に総務省の資料では、「ahamo」「povo」と同列に「LINEMO」も「新料金プラン等」とみなされているようです。
今回の携帯新料金プランを巡り、様々な駆け引きがあったことが、ネーミングからも見て取れますね。