Column

最新ネーミング事情 Vol.159 急成長する「睡眠市場」におけるネーミング

現在、「睡眠市場」への注目度が急上昇しています。
特に、乳酸菌飲料の「ヤクルト1000」は、有名テレビタレントが愛飲していることからブームに火が付き、一部では入手困難となっているようです。

近年は「睡眠負債(睡眠不足が負債のように蓄積し、心身に不調をきたすこと)」や「スリープテック(IoTやAIなどの領域から睡眠改善にアプローチする試み)」など、睡眠にかかわる新しい用語も生まれており、今後も成長していく市場であることが予想されます。

ところで、睡眠の質を向上させることを目的にした商品は、サプリメントだけでなく、飲料や食品など、より身近な領域からのアプローチがトレンドになっていると見受けられます。

今回は、そのような商品のネーミングについて取り上げました。

  • アリナミン ナイトリカバー(ドリンク剤/アリナミン製薬)
    これまでにも、カフェインレスなど「夜にひびかない」をコンセプトにしたドリンク剤は存在していましたが、「飲んで寝ている間に疲労回復」を具体的にネーミングに取り込んだことが新たな提案として注目され、21年9月の発売から半年で700万本以上を出荷するヒット商品となりました。

  • GABA for Sleep(チョコレート/江崎グリコ)
    GABA(ガンマアミノ酪酸)は「ストレスを改善させる」として認知度が高い成分ですが、「睡眠の質を改善する」効果も期待できます。
    この場合、「ストレス」と「睡眠の質」、両方を同時に表現したくなるものですが、訴求ポイントがどっち付かずとなってしまう恐れも孕んでいます。
    本ブランドは、ストレス低減訴求の「GABA」、睡眠改善訴求の「GABA for Sleep」と別々に商品を展開することで、ニーズに応じた住み分けを図っています。

  • にゅ~みん(可食性フィルム/カルビー)
    睡眠訴求食品の新しい形として「食べられるフィルム」タイプを展開しています。
    親しみやすい音感が、新カテゴリーらしいキャッチーな表現となっています。

  • おやすみブレンド(エッセンシャルオイル/無印良品)
    「秒で寝落ちする」とSNSで話題となり、完売が続出したエッセンシャルオイルです。
    同店からは他にも「すっきりブレンド」、「くつろぎブレンド」、「はなやかブレンド」など、ニーズに合わせたフレグランスのブレンド名を展開しています。

  • グーテナハト(バスソルト/クナイプジャパン)
    ハーブの香りによる睡眠改善を狙っており、同社が多数展開するバスソルトシリーズの中で、売上トップ誇る商品です。
    「グーテナハト(Gute Nacht)」はドイツ語です。英語の「Good Night」に相当する言葉で、「おやすみ」という意味になります。ドイツ発祥の同社ならではの表現ですね。

なお、「睡眠」や「夜」を指す表現は、薬機法(旧・薬事法)による制限があります。
機能性表示食品や医薬部外品など、カテゴリーによって使用できる・できないワードがあるため、注意が必要です。