2025年開催予定の大阪・関西万博の公式キャラクター名が「ミャクミャク(MYAKU-MYAKU)」に決定しました。
先行して発表されていた、インパクトのあるキャラクターデザインも大きな反響を呼んでいましたが、名称についても、SNS上では「ミャクミャク“様”」という敬称をつけて親しまれています。
名称は公募によるもので、「脈々」という言葉から、人や文化の繋がりや、命の鼓動のイメージを込めているそうです。
国際イベントのキャラクターといえば、記憶に新しいのが、東京2020オリンピック・パラリンピックの公式キャラクター、「ミライトワ(MIRAITOWA)」と「ソメイティ(SOMEITY)」です。
ミライトワは、「素晴らしい未来を 永遠(とわ) に」、ソメイティは、桜の「ソメイヨシノ」と、英語の「So Mighty(非常に力強い)」が由来とのこと。
キャラクターデザインは日本・海外の日本人学校の小学生の投票により決定しましたが、ネーミングの考案は専門会社が行ったそうです。
ところで、大阪万博も東京オリンピックも、キャラクターデザインが先に決定し、ネーミングは後に考案されています。
これは「商標」というハードルを越えなければならないことが理由であると考えられます。
大阪万博、東京オリンピックともに、発表時には3つの候補(オリンピックは2キャラ1組のため、実質6候補)が挙げられていました。
この場合、最終1案の「決定時点」ではなく、候補の「発表時点」で商標面をクリアにしている必要があります。
何故なら、日本を含む多くの国が「先願主義(先に商標登録の出願手続を行った者が優先的に保護される)」を採用しているため、発表時に商標出願をしていない場合、それを見た第三者が先に商標出願をしてしまう可能性があるためです。
一方、複数の商標分類や国が対象となる場合、弁理士調査費用だけでも膨大なものになってしまいます。商標出願・登録費用についても同様です。
ちなみに、ミライトワ、ソメイティ、ミャクミャク、どれも45区分ある商標分類の「全て」で商標登録(ミャクミャクは出願中)しています。
また、国際的なイベントとなると、海外においてスラングや、ネガティブな意味が無いかという点も考慮しなければなりません。
現実的に、採用しない候補の分まで調査を行うことは、コストやマンパワーの観点で難しいため、まずはデザインを1案に絞り込んでから、そのキャラクターに合ったネーミングを検討するというプロセスになるのです。
何気なく接しているキャラクターの名称も、その裏には様々な戦略が存在しているのです。