2023年2月末に、日本のパンダ4頭が中国へ出発しました。
あらためてそれぞれのパンダの名前の由来や背景を探ると、非常に興味深い点が見えてきます。
今回は、中国へ渡った東京と和歌山のパンダ、そして国内で飼育されているもう一か所である、神戸のパンダの名前について取り上げてみました。
恩賜上野動物園(東京)
- シャンシャン(香香)/2017年6月12日生まれ
上野動物園で初めて自然交配で誕生・成長した個体です(過去の上野育ちのパンダは人工授精。過去に初の自然交配で誕生したパンダは生後6日で夭折)。
名前の由来は「漢字の“香”=花開く明るいイメージ」とのこと。
同園が名前を公募し、322,581件件の中から5,161件の応募があった「シャンシャン」が選ばれました。
ちなみに、パンダの名前は「同じ言葉の繰り返しでなければならない」というルールはないそうです。
実際に、シャンシャンの弟妹となるシャオシャオ・レイレイの名前が公募された時は「カタカナで9文字以内」という条件しかありませんでした。
現実的には、歴代の上野動物園のパンダは、全員同じ言葉の繰り返しなので、その伝統を踏襲しているようです。
また、実はシャンシャンは応募数1位ではありません。
「ルンルン(12,154件)」「メイメイ(11,191件)」「ノンノン(7,854件)」と、シャンシャンより応募数が多い名前がありましたが、これらは既に他のパンダの名前になっている」など理由で不採用。
残りの最終候補8点から、商標調査や中国側との協議を経て、最終決定したそうです。
アドベンチャーワールド(和歌山)
- えいめい(永明)/1992年9月14日生まれ
- おうひん(桜浜)・とうひん(桃浜)/2014年12月2日生まれ
アドベンチャーワールドのパンダ達は、全員「同じ言葉の繰り返し」ではありません。
同園が所在する南紀白浜にちなんで、ここで生まれたパンダは「浜(ひん)」の字が当てられるのが通例で、ファミリーを総称して「浜家」と呼ばれているそうです。
桜浜は「日本を代表する桜の花」、桃浜は「中国から伝わった桃の花」が由来で、公募により決められました。
アドベンチャーワールド生まれのパンダの家系図は、同園のWEBサイトでも見ることができます。
https://pandababy-aws.com/profile.html
家系図を見てもわかる通り、永明のみ「○浜」となっていないのは、中国からやってきた個体だからです。
繁殖が極めて難しいとされるパンダですが、永明の子どもは16頭、孫は23頭、ひ孫も3頭います。
その功績から、「スーパーパパ」、「ビッグダディ」、「イケメン」、「レジェンド」、「パンダ界の光源氏」など、様々な異名を持っています。
神戸市立王子動物園(兵庫)
- タンタン(旦旦)/1995年9月16日生まれ
2000年7月16日に日中共同飼育繁殖研究のため来園しました。名称は一般公募で、「新しい世紀の幕開け」という意味が込められているそうです。
当時はもう一頭のパンダも来日しており、こちらは震災復興の願いから「コウコウ(興興)」と名付けられていました。
実は旦旦、本名ではありません。
中国にいたときの本名は「シュワンシュワン(爽爽)」で、来日した際に、愛称があらためて設定されたのです。
※2023年2月現在、心疾患の治療のため旦旦の一般観覧は中止となっています。