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最新ネーミング事情 Vol.169 ChatGPTに見る、ジェネレーティブAIのネーミング

AIの急速な進歩により、「ChatGPT」などのサービスが話題となっています。
様々なデータを学習し、テキストや画像を生成するAIは「ジェネレーティブAI」と呼ばれ、2020年頃から急速な進化を遂げました。

今回は、ジェネレーティブAIを代表する2つのAIのネーミングについて考察していきます。

GPT

OpenAI社が開発したAIモデルで、「ChatGPT」は、GPTを採用したサービスの1つです。
GPTという名称は「Generative Pre-trained Transformer」の頭文字に由来しています。

GPTの仕組みをChatGPT自身に質問したところ、
「大規模な自然言語コーパス(例えば、Wikipediaなど)を使用してトレーニングされます。トレーニング中、モデルはテキストの文脈を学習し、単語や文の出現パターンを認識します。トレーニングが完了した後、GPTは、与えられた文脈に基づいて、自然な文章を生成することができます。」
とのことでした。

最近、「○○GPT」という名称のサービスが増えていますが、GPTはあくまでもAIモデルの名称であり、チャットに限定されるものではありません。
OpenAI社もこの状況に危機感をいただいたのか、「○○GPT」や「ChatGPT搭載(※)」といった表現を禁止するガイドラインを制定しました。
※「ChatGPT」はサービスなので、「搭載」するものではないため。

Stable Diffusion

GPTが言語であるのに対して、Stable Diffusionは画像の領域で注目されているAIモデルです。
「DreamStudio」や「Mage」などのサービスが、Stable Diffusionを採用しています。

「Stable」は公開元の「Stability AI」社から。「Diffusion」は一般的に「Diffusion Model」と呼ばれる画像生成モデルから由来しているようです。
そのため「Diffusion」という言葉自体は、Stable Diffusion独自の表現ではなく、「Diffusion Model」を採用したAIは他の企業も展開しています(例:NVIDIA社の「VideoLDM」等)。

なお、Stability AI社は、言語の領域でもAIモデルの「StableLM」を発表し、GPTの対抗馬として注目されています。

ちなみに、「ネーミングもChatGPTで開発できるのでは?」というご質問をいただくことが増えていますが、現時点では表現の幅に限界があり、補助的な役割にとどまっている印象です。
しかしながら、AIは急速に進化しているため、弊社もAIに追いつかれないよう、開発するネーミングのクオリティ向上に努めています。