Column

最新ネーミング事情 Vol.176 2023年話題のコンテンツ

早いもので2024年となり、今年はどんな商品やコンテンツが盛り上がるのか楽しみですね。
今回は昨年話題になったコンテンツを振り返り考察して参ります。

  • こだわり酒場のタコハイ/サントリーホールディングス

人気のレモンサワーに挑む形で2023年3月に、こだわり酒場シリーズから発売されました。
実は1982年に発売されており、CMのキャッチ「タコなのよ、タコ。タコが言うのよ。」が当時の流行語にも選ばれ、60代以降の方には馴染みのプレーンサワーです。
この商品を現代に復活させました。「タコハイ」という謎のネーミングと、「プレーンサワー」という敢えて何味と説明しないことで話題になりました。
ネーミングの由来は「多幸ハイ」。お客様により良い晩酌時間をお届けしたいという想いが込められています。(同社ウェブサイト参照)
1980年代~現代と40年の月日が経っていますが、「タコハイの響き」と「何味がわからない」という2点は多くの人の興味を引きつけるようです。

  • 推しの子/集英社・TOKYO MX

「鬼滅の刃」「SPY×FAMILY」「進撃の巨人」毎年アニメ業界からもヒットが生まれていますが、2023年は「推しの子」が話題となりました。
タイトルからは「アイドル推し活アニメ」のような印象を受けますが、実は「転生もの」のアニメです。
現世転生、異世界転生などの「転生アニメ」は2017年ごろからじわじわと増え始めている人気コンテンツです。
しかし、この推しの子は単純な「アイドルもの」「転生もの」ではなく、芸能界のリアルな裏側、SNSの誹謗中傷、サスペンス、復讐など多くの要素が上手く絡み合っています。
あまり伝えるとネタバレになるので控えますが、アニメをみるとわかる「『推し』の『子』」のダブルミーニングも面白い表現です。

  • A.R.E/阪神タイガース

スポーツ界からは阪神タイガースのチームスローガンである「A.R.E/アレ」が話題となりました。
リーグ中「優勝するかも」と優勝を言葉にし始めると負けが続き、優勝直前でも逃してしまった年が複数回あることから、「優勝」という言葉を封印することにしたそうです。
また、アルファベットのA.R.EはAIM(目標)、RESPECT(敬意)、EMPOWER(力)の頭文字でもあるようです。
「優勝」だと意識しすぎるがあまり、選手達のプレッシャーとなっていましたが、「アレ」とすることでクスッと笑え、肩の力が抜けるのかもしれません。むしろ「ほんまにアレで優勝したらオモロいやん」と力になっていた可能性もあるのではないでしょうか。
関西では情報番組のメディア、日常会話で阪神の話をする時でも「アレ」を多く耳にしたように思います。
18年ぶりのリーグ制覇だけでなく、38年ぶりの日本一にも輝いた魔法の言葉のようですね。