2023年度も今月が最後となります。新年度など、期の切り替わりに伴い、社名変更を行う企業が多くありますが、2024年度もさまざまな企業が社名変更を予定しています。
- 日立造船 → カナデビア
- 林原 → ナガセヴィータ
- アイム → 第一三共ヘルスケアダイレクト
- 鳥貴族ホールディングス → エターナルホスピタリティグループ
- Chatwork → Kubell
- サンワカンパニー → ミラタップ
ところで、弊社でもさまざまな社名開発に携わっておりますが、「株式会社」を英語でどのように表現すべきかというご相談を度々いただきます。
今回は、「株式会社」の英語表記の種類についてご紹介します。
Co., Ltd.(Company Limited)
「株式会社」に最も意味が近い表現です。
この概念は日本独自のものであるため、海外の現地法人で使用されることは基本的にありませんが、国内では定番として広く採用されています。
例:「Nintendo Co., Ltd.」「Honda Motor Co., Ltd.」「FAST RETAILING CO., LTD.」
なお、Coの後にピリオドとカンマが並んでいますが、正しい構造は次の通りです。
「Co.(Companyの略称)」
「,(CompanyとLimitedの区切りとしてのカンマ)」
「Ltd.(Limitedの略称)」
そのため、Coの後にピリオドとカンマを続けて打つ必要はありませんし、むしろ海外ではカンマはあまり使用されません。一方、Ltdの後のピリオドは必須です。
なお、後述の例も含めて、大文字・小文字表記が混在していますが、最初の文字が大文字でさえあれば、どちらでも問題ありません。
Corp.(Corporation)
先述の「Co., Ltd.」は「株式会社」ならではの表現ですが、「Corp.」は広義に「法人」という意味になります。
各国の登記上のルールが優先されるものの、国を問わず通じやすい表現であるため、グローバル展開をしている大企業が好んで使用しているようです。
例:「Toyota Motor Corp.」「Bridgestone Corp.」「Panasonic Corp.」「SoftBank Corp.」
Inc.(Incorporated)
IT系の企業が用いているイメージがあります。
実際に、いわゆる「GAFA」は
「旧Google Inc.(現Google LLC)」
「Apple Inc.」
「Meta Platforms, Inc.(旧Facebook, Inc.)」
「Amazon.com, Inc.」
のように、全て「Inc」を採用しています。
※Googleは株式会社から合同会社に変わったため、現在はLLC(Limited Liability Company)です。
登記のルール上、アメリカでは業界を問わず「Inc」を使用するケースが一般的なので、「IT系=Inc.」というわけではありません。
しかしながら、GAFAが全てアメリカ発祥であるため、結果として特に日本ではIT系のイメージが付きつつあるようです。
それを裏付けるように、日本のIT系企業や新興企業も「Inc.」を好んで使用しています。
例:「Rakuten Group, Inc.」「Mercari, Inc.」「Cygames, Inc.」「Bushiroad Inc.」
Ltd.(Limited)
イギリスでは「Limited」の表記が一般的です。
また、日本企業も「Ltd.」を採用している企業が多いですが、イギリスを意識しているというよりも、「Co., Ltd.」をより簡潔にしたという理由で好まれているものと推測されます。
例:「Komatsu Ltd.」「Kracie, Ltd.」「ASAHI BREWERIES, LTD.」
K.K.(Kabushiki Kaisha)
語源の通り、日本に特化した表現です。
ある意味では「Co., Ltd.」よりもダイレクトに「株式会社」を表していますが、使用例は長年続いている企業が今でも「K.K.」表記を継続しているというケースにとどまります。
現在、敢えてこちらを採用するメリットはありません。
例:「Nippon Yusen K.K.」「Nippon Chuzo K.K.」「TOYO KANETSU K.K.」
日本法人が国内で登記する場合は、日本語で「株式会社」「有限会社」などの決められたカテゴリーの表記で登録する必要がありますが、英文社名のルールは特に定められていません。
逆に言えば、各国には英文社名の登記ルールがありますので、各国の現地法人を持つ企業は「日本での英語表記」と「各国で一般的な英語表記(アメリカは「Inc.」、イギリスは「Ltd.」など)」を使い分けています。
例:任天堂のケース
- Nintendo Co., Ltd.(日本名)
- Nintendo of America Inc.(アメリカ)
- Nintendo of Europe AG(ドイツ)
- Nintendo Australia Pty Limited(オーストラリア)
過去のニューズレターでは、社名開発のポイントをまとめております。
是非そちらも併せてご確認ください。