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最新ネーミング事情 Vol.190 頭文字が由来のアルファベット4文字(省略系)ネーミング

「PDCA」や「VUCA」など、アルファベット4文字の表現は、ビジネスシーンや各種業界、経済、社名、サービス名などで広く使われてきました。

しかし近年では、SNSでもアルファベット4文字のハッシュタグや動画を見かける機会が増えています。
これらは英語の頭文字に由来しており、代表的な例として、以下のようなものがあります。

ASMR /Autonomous Sensory Meridian Response自律感覚経絡反応

動画サイトなどで2020年頃から人気のあるカテゴリで、聴覚への刺激により快感や心地よさを与える動画が多く見受けられます。一番人気なのは「咀嚼音」ですが、その他にも「自然音」「スライムで遊ぶ音」「キーボードのタイピング音」「雨や風、たき火などの自然音」など様々で、好みの音を聞くことでストレスが解消されると言われています。

#ootd /Outfit of the Day 

その日のコーディネートを発信するためのハッシュタグですが、さまざまな人の着こなしを参考にする事も出来ます。

また#ootdの派生語として #ootn(Outfit of The night:今夜の服装)/#motd(make of the day:今日のメイク)/#kotd(kicks of the day:今日の靴)などもあります。

MBTI(診断)/Myers Briggs Type Indicator 

キャサリン・ブリッグス(母) とイザベル・マイヤーズ(娘)という米国人親子によって開発された性格診断テストです。エネルギーの方向、ものの見方、判断の仕方、外界への接し方の4要素から16通りの性格タイプに分類し、それぞれの特性を理解する事は自己理解だけでなく相互理解に繋がります。

2023年頃から韓国で流行したことから、日本の若者の間でも話題になりました。一部企業でもチームの円滑な運営を目的に導入されています。


●人気の頭文字系(省略系)ハッシュタグの傾向としては下記のような共通点があげられます。

  • 英語の文章や慣用句の頭文字から来ている
  • アクロニム(例:NASA→ナサ VAIO→バイオ)ではなく、イニシャリズム(頭文字1文字ずつをそのまま発音する)である
  • 親しみのない英単語が含まれていても(由来を説明できなくても)OK

元々、日本では「ミスタードーナツ」→「ミスド」や「プレイステーション」→「プレステ」のように、単語の一部を短縮する省略方法が主流でした。

一方、昨今のSNSの特徴は、国を超えた流行とそのスピード感にあります。人気のインフルエンサーは、“今”世界で流行しているものをいち早くキャッチして、日本人向けに発信したり、日本人として誰よりも早く海外に発信しようと試みています。そのため多くは海外と共通したハッシュタグのまま日本に浸透していると考えられます。

また、SNS社会を担うZ世代にとって、海外からくる「慣用句や英文の頭文字」の響きには、どこか新しさを感じさせるものがあるのかもしれません。