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Column191.運送系会社のネーミングとマークはなぜ動物が多い?

新年度や新学期を迎える時期に繁忙期を迎える日本の物流・引っ越し業界では、動物をモチーフにしたネーミングやマークを採用する企業が多いのが特徴です。

代表的な例として、「クロネコヤマト(ヤマト運輸)」「カンガルー宅配便(西濃運輸)」「まごころパンダ(サカイ引越センター)」「アリさんマークの引越社」が挙げられます。

こうした動物モチーフの採用には、信頼感・サービスの特徴の強調・広告効果といった要素が関係しているかもしれません。

■信頼感・親しみやすさを与える

動物キャラクターは、企業のブランドに親しみやすさや安心感を持たせるための重要な要素です。
特に物流や引っ越しサービスは「大切な荷物を預ける」業種であるため、消費者が安心できるデザインが求められます。

主な企業と動物特性に由来するイメージ

企業・サービス名動物イメージ
クロネコヤマト(ヤマト運輸)黒猫母猫が子猫を運ぶ → 丁寧な配送・軽快さ
カンガルー宅配便(西濃運輸)カンガルーお腹の袋で守る → 荷物の安全性
こぐまアロー便(名鉄運輸)小熊愛らしさ・安定感・成長性
ペリカン便(日本通運)*ペリカンしっかり運ぶ・確実な配送
まごころパンダ(サカイ引越センター)パンダ家族向け・親しみやすさ・温かみ
アリさんマークの引越社アリチームワーク・協力性・勤勉
ハトのマークの引越センターハト平和・安全・優れた方向感覚

*ペリカン便は、2010年に日本郵便の「ゆうパック」に統合されました

■記憶に残りやすく、広告効果が高い

動物をキャラクターに採用することで、企業の認知度向上やブランディング効果が期待できます。
例えば、ヤマト運輸は「クロネコヤマト」の愛称で広く親しまれています。また、「アリさんマークの引越社」は通称であり、正式な社名は「株式会社引越社」です。
さらに、「ハトのマークの引越センター」は、全国の引越し専門業者によって構成される引越協同組合の名称であり、サービス名として使用されています。

このように、動物の名称やマークがセットで認知されていることが多いのが特徴です。

■動物が多い理由

はっきりとした理由は明らかではありませんが、要因のひとつとして、ヤマト運輸(1957年)や引越のサカイ(1971年)といった物流・引っ越し業界の大手企業が動物をシンボルマークとして採用したことが挙げられます。
それに加え、日本では古くから動物を縁起物や象徴として活用する文化があり、動物キャラクターは「信頼感」や「安心感」を与えやすいため、ブランディングに適していると言えます。
こうした背景から、大切な荷物を預ける物流・引っ越し業界では、動物をロゴやキャラクターに採用する企業が多いのかもしれません。