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VOL.160 新ジャンル開拓商品のネーミング戦略は長期型、短期型どちらが良いか?

これまでなかった発想で、市場にまだない商品(サービス)を開発。発売にあたっては新商品にふさわしいインパクトのあるネーミングで勝負したい。そんな時に悩ましいのがネーミング戦略として長期型で行くのか短期型で行くのかという選択です。

長期型は、導入のしやすさよりも将来のブランド化を見据えて固有名詞となりえるような表現のネーミングを開発し、じっくりとお金と時間をかけて市場に浸透させていく考え方です。

短期型は、まず市場・顧客に向けて特徴などをアピールするため、内容がわかりやすい一般名称的な表現のネーミングを開発し、スピーディに浸透させていきます。

以下にそれぞれの実例をあげてその特徴をご紹介していきます。※長期型、短期型はあくまで弊社の解釈であり、とりあげさせていただいたネーミングや企業が必ずしもそういう戦略とは言い切れない旨、了承ください。

長期型の実例
◆WASHLET/ウォシュレット (洗浄便座・TOTO)
「おしりだって洗ってほしい」というキャッチコピーとともにTVCMなどで一気に露出し、洗浄便座といえばウォシュレットといえる代名詞的な存在となりました。

◆Cheeza/チーザ (チーズ味洋風おつまみスナック・江崎グリコ)
チーザが出現するまでのコンビニのおつまみコーナーというと、柿ピーやチータラなどに代表されるおじさん向けのものがほとんどでした。そこに女性や若者にもフィットするおしゃれでビールだけでなくワインにもあう商品として登場したチーザ。今でも洋風おつまみの代表格として勢いを保っています。

長期的訴求型ネーミング戦略
●メリット
 ・固有名詞的なので、一度覚えてもらえれば、そのジャンルの代名詞的なブランドになることも
 ・表記を短くすることができ、より覚えやすく流通しやすい名前になりえる
 ・一度商標権を獲得すれば、更新し続けることで長期的に権利を保護できる。

●デメリット
 ・ネーミングを市場に浸透させるために相応のコスト・時間がかかる
 ・初期の段階ではネーミングに補足の説明が必要な場合もある
 ・ネーミングが短くキャッチーなので、その分商標権取得が困難になる
  (他社商標に抵触する可能性が高い)

短期型の実例
◆ホームベーカリー (家庭用パン焼き機・PANASONIC)
今でこそ家庭でパンを焼くことはそこまで珍しいことではなくなりましたが発売当初は画期的な商品でした。またネーミングもホーム(家庭で)+ベーカリー(パン屋さん)とわかりやすいのも好評でした。ただ現在ではツインバード、象印、タイガーなど多くのメーカーが参入し、「ホームベーカリー」自体は一般名称として使用されているようです。

◆切れてるチーズ (カット済みのプロセスチーズ・雪印メグミルク)
朝食などですぐに食べられる食材として重宝されるチーズ。その中でも「切れてるチーズ」はその便利さから人気なようです。ただこちらも一般名称的な名称のためか雪印メグミルク以外にも森永乳業などが同名で展開しています。

短期的訴求型ネーミング戦略
●メリット
 ・説明的な表現が多いので、商品特徴・内容がよりわかりやすくユーザーに伝わる
 ・本来世の中にある言葉の組合せなので覚えやすい
 ・「名は体を表す」的な表現が多いので補足の広告宣伝が少なくてすむ

●デメリット
 ・一社固有のブランドとすることが難しい場合が多い
 ・既成の言葉から構成されているため、新規性・インパクトに欠けることがある
 ・一般名称的な表現が多いので、商標権取得が困難になる(識別力が弱い)

NNRではお客様の状況に応じて長期的訴求型、短期的訴求型を考慮したネーミング開発が可能です。