一般消費者向けの商品には、必ず識別のための固有ネーミングが必要です。また、他メーカーとの熾烈な競争を勝ち抜くための「戦略的ネーミング」が必要なのはいうまでもありません。ではB2Bメーカーやサービス企業の場合はどうでしょうか。
実際のネーミングを通じて、考察してみましょう。
・キュビア、ルナート (LIXIL)/水栓金具
通常はお風呂や洗面所などを施工する業者向けのB2B商品ですが、最近はリフォーム時におしゃれな水栓金具を撰ぶ一般ユーザーも増えており、B2Cとして見られることも増えてきています。
キュビアの構成:CUBE(立方体)+IDEAL(アイディアル:理想の)+ART(芸術)をアレンジ。
ルナートの構成:LUNA(ルナ:イタリア語:月)+ART(芸術)をアレンジ。デザインの特徴から。
・コアサイト (シスメックス)/子宮頸がん検査技術
独自のデジタル複合技術で、時間のかかっていた子宮頸がんの検査を、極めて短時間で可能にした技術です。販売先は国内外の検査会社や大型病院、研究所などになります。
ネーミングの構成:CORE(中核)+SIGHT(視覚)をアレンジ。
・ZU:NOS (ダイキンアプライドシステムズ)/設備管理パッケージ型システム
ネーミングの構成は、頭脳+NETWORK(ネットワーク)+OPERATION(操作)+SYSTEM(システム)の頭文字展開です。企業の製造現場などで、施設内の設備を効果的に機能させ、最大限の性能を発揮できるよう、ハードとソフトの双方から最適なシステムを構築できることを端的に表しました。
・ACERA (シマノ)/自転車向けコンポーネント
世界中の自転車メーカーが取引先で、年に一度の商談会で年間の売上が決定します。 したがって商品の持つ特徴や性能、イメージを伝えるコミュニケーション・ネーミングの要素を持ちます。 ネーミングはACCELERATE(加速する)のアレンジで、スピード感や軽快感を表しています。
海外メーカーへの販売比率が高いので、英語ネイティブに伝わる表現が必須です。
・NAOMI (セガ)/アーケードゲーム基板
New Arcade Operation Machine Ideaの頭文字で、人名っぽい響きからも愛着を感じさせます。 登場は1988年とかなり前ですが、アミューズメント施設の経営者だけでなく、コアなゲームプレイヤーからの評価が高く、10年以上生産が続けられた上、今でも稼働している隠れたヒット商品です。
・オーション (日清製粉)/強力粉
業務用食品にもさまざまなネーミングがあります。オーションは主にパン屋さんで使われる強力粉です。 根強いファンの多い「ラーメン二郎」でも、このオーションが使われているそうです。B2Bの分野だけに留まらず、一般消費者にも一種のブランドとして認知されている商品もあります。
日本ネーミング&リサーチでは、一般消費者向け商品のネーミング以外にも、このようなB2B製品のネーミング開発にも幅広く対応できます。