近年、新しい地域振興策として注目されているのが「B級グルメ」です。
もともとB級グルメは、「日常的に食べることのできる安くて美味しい料理」のことを指しますが、最近では「B-1グランプリ」などのイベントの影響もあり、「B級グルメ=ご当地グルメ」をイメージしている人も多いのではないでしょうか。富士宮やきそば、厚木シロコロ・ホルモン、甲府鳥もつ煮など、際立った特産品が無い地域にも新たな名物を生み出すことにつながるので、現在も様々な地域でB級グルメの発掘や開発が行われているようです。
■地域団体商標とB級グルメ
原則として「地域名+食品名」のようなネーミングは、ただの産地表示とみなされ商標登録ができません。しかし、地域の特産品を守る目的で、2006年より「地域団体商標登録制度」が施行され、農協や漁協などの事業協同組合に限り、地域ブランドの商標登録が認められるようになりました(例:大間まぐろ、仙台牛、静岡茶など)。ただ、事業協同組合が扱うのは大半が農産物などの特産品で、B級グルメについては、地域のNPO法人や、商工会が指揮をとっていることも多く、これらの団体は商標登録が認められませんでした。その対策としては、
・ロゴマークでの登録
・前後に識別力のある言葉をつけた一連一体での商標登録
・長年の使用実績による商標登録
など、どこかで妥協するか、厳しい条件をクリアするしかなかったのです。
■地域団体商標の範囲が広がります
最近は、ご当地B級グルメブームに便乗したネーミングの商品や飲食店が見受けられ、本家のブランド価値の低下が懸念されています。また、商標登録が容易でないので、模造品を止める手立てが少ないということも問題視されてきました。そこで、2014年3月に、NPOや商工会議所でも地域ブランドを地域団体商標として登録できるようにすることを、政府が閣議決定しました。
これに伴い、B級グルメのネーミングを商標登録しやすくなることが見込まれます。
■真似されやすいものほど、徹底したブランド管理を
今やB級グルメも立派なブランドです。商標登録できるものについては権利化するのはもちろんですが、同時にしっかりとしたブランド価値の構築と管理が重要です。
例えば、富士宮やきそば(30類:そばの麺など、43類:飲食物の提供などで、特定非営利活動法人まちづくりトップランナーふじのみや本舗が登録)の売上は年間数億円と言われているだけあり、商標の使用自体にロイヤリティーが発生するだけでなく、焼き方、使用する麺のメーカーまで厳格に規定されています。ただ権利化するだけで満足せず、ブランドの価値にまで気を配ること。これは一般企業の商品であってもご当地B級グルメであっても変わりません。