News Letter

VOL.112 中国での「日本」ブランド

■「さぬき」のゆくえ
NL89にて台湾で「さぬき」が商標登録されていたケースを取り上げましたが、その続報です。 各新聞情報等によると、台湾の現地食品企業が「さぬき」「讃岐」などを商標登録しており、台湾に進出した日本の讃岐うどん店が、2007年12月に現地食品企業から刑事告訴等の警告を受けた事から2008年4月に「地名の商標登録は無効」として審判を請求していました。そして2010年11月、台湾の知的財産局は請求を認め、「さぬき」「讃岐」「SANUKI」などの登録を無効とする審決を下しました。
しかし、その後商標無効に対して地元企業が不服申し立てを行い、無効の効力は未確定となりました。最終的な結論が出るには1年以上かかる見通しと言います。

■「日本」ブランドの効果
中国では富裕層だけでなく一般的な国民でも、高くても品質がよく安全なものを手に入れたい、という認識をもっている人が多く、日本製品は絶大な信頼を得ています。中国が将来有望の大きな市場である以上、商売上はもちろんの事、日本ブランドを価値づけるために商標権は欠かせません。
日本をイメージさせる商標が付された製品は安心感や高級感を与える効果をもっています。

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しかし、現地企業など第三者による商標登録は後を断ちません。 最近では佐賀県の伝統工芸品「有田焼」や愛媛県今治市のブランド「今治タオル」とよく似た名称とロゴマークが登録出願されており、中国内で日本ブランドが使用できない状況が発生しています。
四国タオル工業組合が2009年、名称「今治」とロゴマークを中国商標局に出願したところ、先に上海の企業が商標登録申請しており、拒絶通知を受けました。 組合は異議申し立てを行っていますが、審査には2、3年程度かかるそうです。(※2011年4月時点)

■今後の中国商標市場
現地企業による紛らわしい登録商標を見過ごす訳にはいかないのが日本企業の共通の意識であると思います。しかし、すでに登録されてしまった場合、無効審判の請求などの対応策はありますが、最終的な判断が下るまでに、長い時間と多額の費用を要するだけでなく、結果うまくいかない事も起こりえます。
できるだけ早く、漢字や英文字での登録出願を行う事はもちろんですが、あらゆるリスクを回避するという点で、ひらがなを図形として登録するなどの対策も必要になってくるかもしれません。ひらがな・カタカナは中国では図形として認識されます。
費用の問題もありますが、可能な限り対応する事がリスク回避の大きなポイントに