News Letter

Vol.96 印象的な数字ネーミング

数字は誰にでも読みやすく短く表記でき、言葉とは違った記号的な印象を残す効果がある反面、0~9の単調な数字の羅列と読みでは商標登録において「識別力が弱い」とされます。 しかし表記の仕方や言葉との組合せによって商標登録が可能な場合もあります。

■顕著性(識別力)の有無
アラビア数字(0~9)は1ケタ、2ケタで使用する場合、顕著性がないとされています。
通常の日本語読みでは顕著性がなく、英語読みの場合は分類によって顕著性が認められる場合があります。(アルファベットも3文字以上から顕著性があるとされています)

「1」(イチ) …×「12」(ジュウニ) …×「123」(ヒャクニジュウサン) …×
「ワン」 …×「12」(ワンツー) …×「123/ワンツースリー」 …○
「ONE」(ワン) …△「12」(イチニ) …×「123/イチニサン」…○

■少しの工夫が登録へのカギ?
雑誌「セブンティーン」は第16類(新聞、雑誌等)に商標登録されています。これは単なる「17」という数字ではなく、カナ表記(または英文字表記)することで「17歳」という意味が強まり、識別力があると認められたからだと思われます。(雑誌名の語源は、主な購読対象者の年齢「サーティーンからナインティーンの7つのティーン」とされています。) 同じく雑誌「ヴァンサンカン」も「25歳」という意味ですが、フランス語であり単なる数字以上の識別力を持っているので「25ANS ヴァンサンカン」などの表記で登録されています。 コンビニの「セブンイレブン」も図形との組合せで商標登録しています。(ちなみにロゴでは、単調な数字の組合せではないことを示すために最後の「n」のみを小文字にしたといわれています)。 言葉と数字を組み合わせたネーミングにはいくつかのパターンがあります。

商品内容や成分を明確に表しているもの
「十六茶」
お茶。玄米、シソの葉、ハトムギなど16の素材を使用
 
「ストロングセブン」
アルコール飲料。アルコール分7%より(商標は図形を含む)
目指すイメージやモチーフの数字を使っているもの
「ドラフトワン」
アルコール飲料。業界の代表選手になってほしいという思いからの「ワン」
 
「六花亭」
北海道帯広市に本社を構える菓子メーカー。六角形の花(雪の結晶)に由来
語呂合わせを用いたもの
「109」
商業施設名。親会社「東急(とうきゅう)」の読みを数字の「10-9」→「いち・まる・きゅう」
 
「VIVIO」
軽自動車。VIVID(鮮やかな)の意味の他、ローマ数字と排気量にかけてVI(6)、VI(6)、0

大きい数字を用いて豊富なイメージを与えるもの、逆にゼロや1など少ない数で優秀さをアピールするものなど、数字を用いたネーミングには各社の工夫が込められています。
※商標登録の可否については分類や表記によって上記の内容と異なる場合もあります。