News Letter

Vol.76 著作権と商標権の関係について

●実名(またペンネームなど)の著作物・・・・・保護期間は死後50年
著作権の原則的保護期間は、著作物を創作した時点から著作者の死後50年までです。 ただし現在、これを欧米並みに70年に延期するような動きが出ています。 また小説のタイトルなどは、商標にあたりません。これらは「題号」と呼ばれ、書籍という商品の出所を表示する標識として用いられるものではありません。 音楽CDなどのタイトルも、小説のタイトルと同様に商標に該当しません。 ただし、定期刊行物(雑誌や月刊誌など)のタイトルは、そのタイトル自体が出所識別標識として機能するので商標となり、実務上も商標分類の第16類に登録することが出来ます。

商標の該当有無小説該当しない(「題号」と呼ばれる)
音楽CD該当しない
定期刊行物該当する

●実名や有名な芸名、歴史上の人物名などを商標法上で見ると・・・
他人の氏名や有名な芸名等を含む商標は、通常、登録をうけることができません。 ただし、本人と、その承諾を受けた者は商標登録ができます。 歴史上の人物のように、現存しない有名な人物名については、(ヒトラーのように、公序良俗に反すると判断された場合は)、商標登録をうけることができない可能性があります。 しかし現実には、織田信長や坂本竜馬など、歴史上の人物名が数多く商標登録されており、明確な基準は明らかでありません。

人名の商標(例)坂本龍馬日本酒
織田信長日本酒、菓子、他
ヒトラー商標登録は拒絶されています

●映画の著作物・・・・・・公表後70年
先日の新聞報道では、映画「ローマの休日」など約50タイトルを、(公表後50年を経過したとして)権利のない第三者が、それらの映画の複製販売を開始したとありました。 これに対して権利者が、著作物の権利は70年だとして、その動きを差止める訴訟を起こしました。現在では、映画の著作権は、公表後70年(創作後70年以内に公表されない場合は創作後70年)に延期する動きがあります。これに対して、映画やテレビのタイトルは、(商標法上では)どうなるのでしょうか。映画やテレビのタイトルも、商標に該当しません。映画やテレビのタイトルも、商品やサービスの出所を表示する標識として用いられるものではないからです。

※死後、公表後、創作後の期間の計算は、計算を簡便にするため、死亡、公表、創作の翌年の1月1日から起算されます。なお、保護期間中でもその著作権者の相続人がいないときは著作権は消滅します。

著作権保護期間(例)ローマの休日>公開 1953年
著作権保護期間50年
(2003年まで)