「東京スカイツリー」が当初予定していた漢字表記「東京天空樹」がすでに中国で商標登録されていたため、「東京晴空塔」に変更されるなど、中国との商標トラブルが後を絶ちません。しかし、このような商標トラブルは中国に限った事ではありません。
■韓国での商標トラブル
韓国市場は芸能や化粧品業界など、日本とは親しみの深い市場へと成長しています。日本のアルコール市場では韓国焼酎「マッコリ」が流行っていますが、韓国では日本酒の人気が高く、輸出量も伸びているそうです。しかし、2012年3月ソウルの日本酒輸入業者によって「特撰」「上撰」「辛口」など日本酒の品質を表す一般的な言葉や「すっきり」「キレ」など味わいを表す言葉の商標登録が認められました。 そのためこのような文字が書かれている日本酒が韓国へ自由に輸出できなくなる可能性もありましたが、現在は騒動も収束を迎えているようです。
その他にも下記のようなトラブルが過去に起こっています。
●「笑笑」と「WARAWARA」
日本で有名な居酒屋チェーン「笑笑」に似た「WARAWARA」という居酒屋が韓国で商標登録・営業されていました。「笑笑」を経営する会社は商標の無効を求めていましたが、2012年2月、特許審判院(特許庁に相当)は日本の主張を認める判断を下しました。しかし、「WARAWARA」の経営者は商標権登録の認定を求めて訴訟を起こし、7月に大法院(最高裁判所に相当)は特許審判院の判決を覆す決定を下しました。
●「矢場とん」と「YABATON」
2008年、名古屋の味噌カツで有名な「矢場とん」の模倣店が韓国内で営業しているのが見つかりました。豚のキャラクターやロゴなどそっくりに使用され、韓国では商標登録も認められていました。 最終的には韓国の商標を模倣店から矢場とん側に譲渡する契約を締結し和解しました。
●「ハイチュウ」と「マイチュウ」
2004年森永製菓は「ハイチュウ」によく似た「マイチュウ」の商標権侵害差し止めを求めて訴訟をおこしましたが、「チュウ」以外は似ていないと判断されてしまいました。■注目される韓国市場
韓国市場は日本だけでなく世界から注目されており、特にアメリカは高い関心をよせています。
また、アメリカとのFTA(自由貿易協定)により韓国は日本ではまだ採用されていない新しいタイプの商標「音・匂い」なども2012年3月から採用しています。(動き・ホログラムなどは2007年~)。
■今後の対策
意図せぬ商標トラブルによって、海外での展開が難しくなったり、ブランドイメージに傷がつく可能性もあります。国際的な経済競争が激しくなる中で、自社の権利やブランドをしっかりと守っていく事が大切です。韓国ではハングル文字、アルファベットの他に日本語の漢字・ひらがな・カタカナが商標申請可能です。トラブルを未然に防ぐためにも、ハングル文字での出願を視野に入れておいたほうがベターです。