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VOL.72
(2006.3)
立体商標と意匠のちがいについて |
商標は、いくつかの種類に分類されます。
文字商標、図形商標(一部、記号商標、結合商標)、立体商標(結合商標)などです。
今回はご質問の多い、立体商標と意匠の違いについてご説明します。
■立体商標を構成する要素
立体的形状(文字等との結合を含む)に付与される商標権で、その対象となるものは、
1/ 商品そのものの形状 ・・・・・・・・・・例、ひよこ(まんじゅう)、サイコロキャラメルなど
2/ 商品のパッケージの形状 ・・・・・・例、コカコーラのボトル、カップヌードルの容器など
3/ サービスの提供のために用いられるものの形状 ・・・・・・例、航空機のデザインなど
4/ 商品やサービスに関する広告の形状 ・・・・・・・・例、ペコちゃんは日本の立体商標の第一号です
■意匠とは、製品のデザイン(外観)のことです
自動車、テレビ、携帯電話、カメラ、蛍光灯、ジュースの瓶、薬の容器、洋服、靴・・・。
私達の身の回りには、さまざまな工夫の凝らされた意匠(デザイン)があふれています。
こうした工業的に生産される製品の新しいデザインは、意匠法によって保護されます。
わが国の意匠法では、「意匠」とは「物品(物品の部分も含む。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。」と定義されています。(2条1項)
■立体商標と意匠の違い
両者は、物の外観を対象としている点で共通します。しかし、立体商標は形状自体ではなく、その形状に蓄積された「業務上の信用」を保護している点で、「物品のデザイン(形状)」自体を保護する意匠と異なります。主な違いは次のとおりです。
(1)意匠登録の要件は、新規性や独創性(オリジナリティ)などです。出願時に日本国内や外国において知られている形状やその形状から簡単に思いついたデザインについては、権利取得できません。意匠権の有効期間は15年と限られています。
(2)立体商標は、文字商標などと同じく、商標としての機能を有するか、先行商標と類似していないかなどの商標登録の要件をクリアする必要があります。
意匠の場合とは異なり、その形の新規性や独創性は関係ありません。商標の有効期間は10年間ですが、任意で半永久的に更新できます。
なお、立体的形状のみからなる商標については、実務上、その商品そのもの、またはパッケージの形状等であると認識できるものは識別力がないと判断されますので、その商標登録には、使用の結果生じる自他商品の識別力が必要になります。 また、一般的に立体商標は、意匠でも登録されていることが多いようです。(例.ペコちゃん、ヤクルトの容器など)
■立体商標を取得するには
立体的形状のみからなる商標であっても、先に意匠登録をおこない、15年の有効期間の間に商品や容器の形状について広く消費者に広告宣伝をおこなうと立体商標の登録の可能性が高まります。
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