Column

Vol.114 芸名にまつわるエトセトラ

先日、女優の樹木希林さんが亡くなりました。その個性的なキャラクターは、独特な芸名からも感じ取ることが出来ますが、かつては「悠木千帆」という芸名で活動していました。
「悠木千帆」時代からドラマ『寺内貫太郎一家』などで活躍しており、その名も親しまれていたはずなのですが、なんとテレビのオークション企画で、「売るものがない」として自らの芸名を競売にかけてしまったのです。
その後、「悠木千帆」は2万200円で落札され、本人は「樹木希林」と名乗ることになりました。なんとも彼女らしい、破天荒なエピソードと言えます。

芸名は、背景に様々なエピソードが隠れているところが興味深いポイントです。

■マツコ・デラックス
本名が「松井」であることから、有名になる前から周囲より「マツコ」の名で呼ばれていたそうです。あらためて芸名を付ける際、他の女装家にあやかり長い芸名を検討、追加する単語として、「インターナショナル」、「ロワイヤル」、「ユニバーサル」なども候補に残っていたようですが、最終的に最もシンプルでわかりやすい「デラックス」に落ち着いたとのことです。

■広瀬アリス/広瀬すず
最近ドラマやCMなどに引っ張りだこの姉妹です。2人共「広瀬」の名字を名乗っているため、特に違和感なく本名と受け止めそうですが、実は芸名で、名字も「広瀬」ではないそうです。 なぜ現在の芸名にしたのか、経緯は「本人もよく分かっていない」とのことですが、いずれにせよ、事務所の方針で「姉妹」であることを売りにする狙いがあったことは確かと言えるでしょう。

■ディーン・フジオカ
本名は「藤岡竜雄」で、れっきとした日本人です。香港での活動時にイングリッシュネームが必要となり、広東語で「CRAZY」を意味する「癲(ディェン)」にかけて「ディーン」と名乗ることになったそうです。結果的に日本でもこの名が「逆輸入俳優」としてのイメージを強めることに成功していると言えます。

■チョー
本名は「長嶋茂」、旧芸名は「長島雄一」で、アニメ『ONE PIECE』のブルック(骨の人)や、NHKの教養番組『いないいないばあっ!』のワンワン役の声優として活動しています(ワンワンはなんと同時にスーツアクターも務めています)。「チョー」と言う名前について、アラフォー世代の人はご存知の方も多いかと思います。かつてNHKで放映されていた教育番組『たんけんぼくのまち』の主人公、「チョーさん」が、この長島さん御本人なのです。番組終了後、旧芸名での活動中も、「チョーさん」と呼ばれることが多く、最終的に芸名も「チョー」に変わったとのことです。