現在、我が国では年間12万件以上の商標が出願され、ブランド開発の難易度が年々上がってきています。 そんな中で増えているのが、「ブランドの復活・再利用」です。かつて人気を博したブランドが、近年、再びヒット商品に名乗りを上げています。
最近の事例を取り上げると、
●角瓶(サントリー)
これまでも中高年を中心に定番ブランドとして親しまれてきましたが、若者に支持されている俳優やアーティストのCM起用、そして「角ハイボール」という飲み方の提案で、ブームを引き起こしました。
●ミルミル(ヤクルト)
ビフィズス菌で発酵させた初めての飲料として発売されましたが、競合商品の増加により一時ブランドが消滅。しかしながら、近年の健康ブームを背景に、ターゲットをより大人向けにシフトして復活し、好調な売り上げを記録しています。
●たまごっち(バンダイ)
かつて大ブームとなった玩具。当時は白いたまごっちに約10万円のプレミアがついて取引されたこともありました。あの頃の小中学生も今や家庭を持つようになり、「なじみのあるたまごっちであれば」と安心してお子さんに買い与えるケースが増えているようです。
●PEN(オリンパス)
元々はカメラファンに語り継がれてきた一眼レフフィルムカメラの名機。時代の流れにより一度は姿を消しましたが、近年、ミラーレス一眼デジタルカメラとして復活。かつてを知るファンだけでなく、女性やビギナーの取り込みに成功しています。
このようなブランド戦略は、消費者側、企業側双方に利点があり、
消費者側では…
・昔のブランドが、時を経ることによって、新鮮な感覚をもたらす。
・すでに聞いたことのあるブランドなので、手に取るときに安心感がある。
企業側では…
・ブランド開発のコストが抑えられる。
・ブランドの浸透時間を短縮できる。
などのメリットが考えられます。
しかし、やみくもにブランドの復活を図るだけでは、「マンネリ化している」「時代に合っていない」と捉えられかねません。保有しているブランドの価値を的確に分析し、消費者のニーズや時代の流れに合った戦略を練っていくことが重要です。