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最新ネーミング事情Vol.23 透明色のネーミング

最近のネーミング開発としては、まず分かりやすいもの(消費者にすぐに意味が伝わるもの)とご要望いただくことが増えました。
しかし今回は、誰もきいたことがないような新しいカテゴリー名をつけたい、とご相談いただいた例をご紹介させていただきます。

ご依頼いただいたのは、女性専用で、産婦人科・心療内科・精神科など、フィジカルからメンタルまでサポートしてくれるクリニックです。
女性の社会進出や活躍が注目される中で、日々ストレスを感じている人や孤独感を感じている人が増えています。また、妊娠・出産や育児などで悩む女性も同様です。
体調不良で診察を受けられる人の中には、そういった心の悩みをかかえている人も多く、カウンセリング(心理療法)を勧めることもあるそうなのですが、ここで問題になってきたのが【カウンセリング】という言葉です。

海外では薬に頼る前にカウンセリングといった感じで、仕事やプライベートの悩みなどを気軽に話せる相手としてカウンセラーに会いにいきます。
日本でもカウンセリングという言葉はよく認知されていますが、カウンセリング=「病気を扱う」というイメージが強いそうで、自分には必要ないと思ってしまうようです。
そういったネガティブイメージがなく、頑張っている女性を応援できるプログラム名としてお選びいただいたのが【パルレ・キュール】です。

【パルレ・キュール】
フランス語の「PARLER(対話)」+CURE「キュール(療法、元気にする)」の造語

音だけを聞くと一般的には意味が分からないかもしれませんが、スペルで書くとキュールは英語のCURE(キュア:癒す)と同じです。
しっかりとしたメソッドをもった対話療法だと説明されれば、まったく新しいプログラムとして受け入れられるのではないでしょうか。

確かに、新しいカテゴリーとしての確立や認知度を高めるには多少の時間が必要かもしれません。
しかし、今までにない新しいものとして浸透させていく過程で、独自の色に染めていける未知の可能性を秘めたネーミングとも言えるのです。