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最新ネーミング事情 Vol.155 「展望台」のネーミング

今年2022年は東京スカイツリーが開業10周年を迎えます。10年の間に、あべのハルカスを始めとした様々な高層ビルが建設され、2027年には日本一高いビルとなるTorch Towerが東京駅前に竣工予定です。

ところで、高層建築物には展望台がつきものですが、近年は「建物名」とは別に、「展望台(フロア)名」も独自に設定しているケースが多いようです。

●最も多いのは「SKY」

「展望」をイメージさせるワードは「VIEW」、「LANDSCAPE」、「PANORAMA」など、様々なものがありますが、どれも意外と使われておらず、近年だと
TOKYO CITY VIEW(250m)/六本木ヒルズ森タワー(東京都港区)
程度にとどまります。

一方で、最も多く使われているのが「SKY(空)」です。
「空」という単語1つで、「高さ=空に近い」、「展望=空のような開放感」、2つの要素が表現できるため、高層建築物では万能ワードとして使われているようです。

※「SKY」を使用したネーミング例
SKY CIRCUS(251m)/サンシャイン60(東京都豊島区)
SHIBUYA SKY(230m)渋谷スクランブルスクエア(東京都渋谷区)
SKY GARDEN(273m)横浜ランドマークタワー(横浜市西区)
SKY PROMENADE(220m)/ミッドランドスクエア(名古屋市中村区)

●その他のネーミング例

ハルカス300(300m)/あべのハルカス(大阪市阿倍野区)

具体的な高さを「数字」として表すことで、シンプルながらもインパクトのある表現となっています。
一方で、Torch Tower(390m)の竣工後に、日本一ではなくなる「300」という数字をどう訴求していくかというのも、今後興味深いポイントとなることでしょう。

光の展望台(84m)
黄金の展望台(87.5m)
天望パラダイス(94.5m)/通天閣(大阪市浪速区)

フロアごとに3つの名称を持つという個性的な展開をしています。
光の展望台、黄金の展望台については、「展望」という「外側」ではなく、「内装」という「内側」にフォーカスした表現であるという点も異彩を放ちます。

メインデッキ(150m)
トップデッキ(250m)/東京タワー(東京都港区)

かつて「大展望台(第一展望台)」「特別展望台(第二展望台)」と呼ばれていましたが、2018年より上記のネーミングに改称しています。
以前の名称も昔ながらの良さがありますが、2018年の大幅改装に合わせ、ネーミングも現代風にアップデートを図ったものと見受けられます。

天望デッキ(350m)
天望回廊(450m)/東京スカイツリー(東京都墨田区)

日本一の高さを誇る展望台は、意外にも英語ではなく、日本語表現となっています。
特に、天望回廊は、漢字4文字という「重い」イメージを敢えて持たせることで、格別感を醸し出しています。
ちなみに、公式サイトによると、天望回廊の英語表記は「TEMBO GALLERIA」、天望デッキは「TEMBO DECK」とされています。