News Letter

VOL.162 薬機法とネーミング(キャッチコピー含む)

薬機法というと、聞きなれないかもしれませんが、旧名称の「薬事法」の時代が長かったのでそちらを覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この法律は薬品だけでなく、健康食品やサプリメント、化粧品、医療機器まで幅広く規制があるため、関連する業界も広くなっています。
薬機法とネーミング(キャッチコピー)の表現規制などについて以下に簡単にまとめてみました。

●薬機法とは?

正式名称を医薬品医療機器等法といい、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の略称となります。かつては「薬事法」だったのですが平成26年(2014年)11月25日から薬事法等の一部を改正する法律の施行により現在の名称に改められました。
医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の品質・有効性・安全性を確保するために必要な規制や指定薬物の取り扱いなどについて定めた法律です。ちなみに健康食品やサプリメントは上記の製品に含まれませんが、医薬品と誤解されたり効果の過大評価で正しい治療を妨げる恐れがあることから、薬機法が適用されます。

●薬機法のNG表現例

以下のような表現は薬機法上NGとなる可能性があると、大阪府『健康食品について』のページで記載されています。
http://www.pref.osaka.lg.jp/yakumu/kenkoushokuhin/index.html

◆健康食品の場合

健康食品は基本的に効果効能の直接的な表示はできません。

・疾病の予防・治療効果があるように思わせる表現
 (例)ガンが治る、糖尿病に効く、白血病が治った、など
・身体の構造・機能に作用するものあるかのように思わせる表現
 (例)免疫力を高める、疲れない体質にする、腸の環境を整える、など
・体の不調を改善、増強できるかのように思わせる表現
 (例)病中病後に、疲労回復、便秘気味の方に、など
・栄養成分の体内における作用を示す表現(その関連する成分に関して)
 (例)血液中の血栓を溶かす成分を配合、アントシアニンは目に対する効果がある、など
・新聞等の記事、医師の談話経験談により病気が治ると思わせる表現
 (例)〇〇は関節炎に効果がある(医学博士△△)、など

●薬機法にふれないネーミング(キャッチフレーズ)の実例

例1:医薬品
夜寝ている間の点眼薬・ネーミング
サンテ ボーティエ ムーンケア/参天製薬

ポイント→ ナイトケアではなくムーンケアとすることで夜間のケアとイメージしつつ夜などの時間を限定しない表現になっています。

例2:医薬品
生活習慣などによる肥満症の改善薬・ネーミング
ナイシトール/小林製薬

ポイント→ 体内脂肪を落とすという効能を直接的な表現ではなく、「体内脂肪」を「ナイシ」、「取る」を「トール」という造語でイメージさせています。

例3:医薬部外品
製薬会社ならではのコスメディック発想のスキンケアブランド・ネーミング
UL・OS(ウルオス)/大塚製薬

ポイント→ お肌を潤すという製品機能の特性をアルファベットで表記することで直接的ではなくイメージで表現しています。また「何を潤す」とは言ってないのでお肌だけでなく、「心も潤す」ともとれる表現となっています。

例4:化粧品
和漢植物エキス配合のスキンケアブランド・ネーミング
雪肌精(せっきせい)/コーセー

ポイント→ 美白に対する意識が強い化粧品の世界で、あえて白と言わずに「雪のように白い」をイメージさせる「雪肌精」とすることでイメージ表現しています。

例5:機能性表示食品(健康食品)
LKM512ヨーグルト(お通じ改善ヨーグルト)キャッチフレーズ
おなかにいいコト/協同乳業

ポイント→ おなかに良い事がありそうというイメージを表現することに成功していますが、具体的にどんな良いことがあるのかについては明言していないので薬機法的にも使用可能となりました。

薬機法の基準については時代背景などで日々変化があります。今回取り上げた事例もあくまで発売
時点でのOKであって、現在及び今後の保証ではないことをご了承ください。