NNRニューズレターのバックナンバーVOL.91において、音や匂いの商標について検討が始まったことをお知らせしましたが、新しい動きをレポートします。これらの新しいタイプの商標は、アメリカやヨーロッパではすでに導入されています。日本でも時期は未定ですが、ほぼ導入は確実なようです。

１.動きの商標

テレビやコンピュータ画面に写し出される動画商標や動く立体商標です。 ○登録例　米国登録第1928423号　指定商品：第９類　映写フイルムなど （20世紀フォックスのサーチライトが夜空を照らす映画タイトル） ○登録例　ＣＴＭ登録第3429909号　指定役務：第38類　通信など （握手の動画）

２.ホログラムの商標
ホログラムに映し出される図形などが見る角度によって変化して見える商標をさします。
○登録例　米国登録第3045251号　指定役務：第36類　クレジットカードサービスなど

３.輪郭のない色彩の商標
色彩のみからなる商標、単一の色彩と複数の色の組合せによる商標です。
図形などとの結合は不要となっています。また使用実績による識別力の獲得が必要です。

○登録例　CTM登録第4192019号　 指定役務：第35類　広告のためのイベントの運営など

４.位置商標

標章に識別力がない場合であっても、標章が常に商品などの特定の位置に付される事によって識別力を獲得する商標です。
○登録例　米国登録第2363544号　 指定商品：第９類　カーソル操作器 （IBMパソコンのキーボードにある赤いデバイス。俗称：デベソ） ○登録例　ＣＴＭ登録第3892015号 指定役務：第16類　筆記用具など （万年筆の特定の位置にあるリング状のもの）

５.音の商標
音楽、音声、自然音などからなる商標であり、聴覚によって認識されるもの。
MGM映画の導入部でライオンが吠える声が、アメリカでは音商標（SOUND MARK）として登録されています。
※海外で登録されている音商標のホームページ
http://www.uspto.gov/go/kids/kidsound.html

○登録例　米国登録第2814082号 指定役務：第５類　医療用のジェル、スプレーなど
（この標章は「ヒサミツ」という言葉を、E、A、E、F#の音階に沿って歌われる音からなる）

※においの商標について
匂いの商標については登録条件の設定がむつかしく、今回は見送られる公算が高いようです。

※資料画像は特許庁のホームページより転載