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VOL.102
(2010.02)
「吉田松陰」などの商標取消へ
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Vol.88にて「吉田松陰」などの商標取り消しを萩市が求めた事について取り上げましたが、今回はその続編です。
■歴史上の人物の商標登録
2008年2月、「吉田松陰」など、東京の会社が乳製品などで商標登録を行った事に対して、「歴史上の人物と無関係の会社に商標登録されたのは、郷土の感情を損ねる」として山口県萩市が登録取消を求めて特許庁に異議申し立てを行いました。その結果、東京の会社の権利である「吉田松陰」「高杉晋作」「桂小五郎」の商標取り消しを決定し、2009年2月に山口市より出願されていた「中原中也」も登録を認めないことになりました。「中原中也」を出願していた山口市は、他社による独占的使用を防ぐために出願していましたが、今回の決定を受け「市以外の出願も認められないのなら、独占使用を防ぐ当初の目的は達成された」と受け入れる意向のようです。一方、2009年10月、特許庁では歴史上の人物の商標登録はこれまでより厳格に審査する新しい審査便覧を改訂し、公共の利益を損なう恐れがある場合や、利益を独占する意図に基づく場合には登録を認めないこととしました。
■新しい判断基準
以下、新しい判断基準の一部です(商標審査便覧より抜粋)
1.歴史上の人物名からなる商標登録出願の審査においては、商標の構成自体がそうでなくとも、商標の使用や登録が社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するような場合も商標法第4条第1項第7号に該当し得ることに特に留意するものとし、次に係る事情を総合的に勘案して同号に該当するか否かを判断することとする。
(1)当該歴史上の人物の周知・著名性
(2)当該歴史上の人物名に対する国民又は地域住民の認識
(3)当該歴史上の人物名の利用状況
(4)当該歴史上の人物名の利用状況と指定商品・役務との関係
(5)出願の経緯・目的・理由
(6)当該歴史上の人物と出願人との関係
■これからの新しい動き
今までは、現存する人に対しての規定は設けられていたものの、歴史上の人物に対して明確な規定が存在しなかったようです。その結果、人物と直接関係がない企業や人であっても商標登録が認められている場合が多々ありました。今回の特許庁の決定により、今後の出願は厳しく審査されるものと思われますが、現在認められている数多くの歴史上の人物の商標登録が今後どのようになるのかも気になるところです。歴史上の人物の遺族や地元の声があがれば、商標登録取り消しになるものも多くでてくるかもしれません。
【歴史上の人物の登録事例】 その他の人物でも、様々な分類で商標登録あり
・坂本龍馬…第30類 30A01(菓子及びパン)、第33類 28A01(日本酒)、他
・織田信長…第14類 13C01(キーホルダー)、第33類 28A01(日本酒)、他
・豊臣秀吉…第25類 17A01(洋服)、第14類 23A01(時計)、他
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