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最新ネーミング事情Vol.37 漢字一文字ネーミング

良いネーミングの条件とされるものの一つに、文字数の少なさという要素があります。例えば3~4文字は言いやすく覚えやすい、特に読みで3文字は覚えやすく、印象に残りやすいと言われています。
そういった短い文字数のネーミングを突き詰めた表現のひとつに漢字一文字ネーミングがあります。
表音文字ではなく表意文字である漢字だからこそ、たった一文字でも見る人に特定の印象を与えることができ、商品特長などを表現することが可能です。さらに一文字なので字のサイズを大きくすることができ、結果として人の目にとまりやすいというメリットもあります。

今回はそんな漢字一文字のネーミング例をご紹介します。

・ブレンデッドウイスキー「響/HIBIKI」(サントリー)
国産ブレンデッドウイスキーでは最高級のひとつと評価されているウイスキーです。ブレンデッドの特長である、他種類の原酒をブレンドして生まれる味わいのハーモニーといった要素が「響」という漢字からイメージできます。また画数の多さから重厚感があり、高級さも感じられます。

・甲類焼酎「純/じゅん」、本格麦焼酎「熟/じゅく」(宝酒造)
飲みやすい美味しさで知られる甲類焼酎と、熟成させた本格的な味わいが楽しめる本格麦焼酎です。「純」からはピュアなおいしさ、また割り物に使いやすいクセの無い味わいもイメージできます。「熟」からは文字通りの熟成酒らしさが感じられます。
このように同一メーカーで複数の漢字一文字を使用している例は珍しいですが逆に漢字一文字といえば~というようなイメージ戦略にも応用できます。

・烏龍茶「煌/ファン」(日本コカ・コーラ)
煌めくという字の意味から、エネルギッシュなイメージや前向きな気持ちが感じられます。また字面から高級感もあり、「ファン」と読ませることで中国らしさ、さらにちょっと神秘的なイメージも感じられます。

・アイスクリーム「爽/そう」(ロッテ)
シャキッとした食感、すっきりした口どけ、さっぱりした後味が楽しめるカップアイスです。アイスクリームで漢字一文字は大変珍しいですが、味わいの特長が見事に表現されています。

以上のように漢字一文字ネーミングは、うまくはまれば印象に残り、ロングセラーにもなりうるパワーを持っています。ただ難点といえばイメージがやはり和風になってしまうので海外展開や洋風の商品には使いづらいことがあります。また商標的には漢字一文字だと音数も2~3文字ぐらいになり登録の可能性が低いネーミングになってしまう可能性があります。