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Column207. 話題の「スクイーズ」ネーミング

Column.202では「シール」のネーミングについてご紹介しましたが、近年、同じくらい注目を集めているのが「スクイーズ」です。
バラエティショップなどでは、シールとスクイーズが隣同士に並んでいる光景も、すっかり見慣れたものになりました。

流行の新スタイルスクイーズ

いま流行しているスクイーズは、ひと昔前のものとはかなりイメージが異なります。
従来の低反発ウレタンのような素材感とは異なり、シリコン系素材を中心とした、水感の強い質感が特徴です。
握ると原型を留めないほどに崩れ、時間を置くともとに戻るような独特の触感を楽しむことができます。

また、基本的には袋から出さず、袋に入ったまま楽しむスタイルであることも特徴です。

比較的よく見られる呼称をYahoo!で検索すると、以下のような件数となっています。

・水感スクイーズ … 約5,290,000件
・袋入りスクイーズ … 約3,910,000件
・もちもちスクイーズ … 約1,820,000件

ただし、シールと比べると広く定着した呼称はまだ少なく、単に「スクイーズ」と呼ばれていることも少なくありません。

新スタイルスクイーズの代名詞「Mellojoy(メロジョイ)」

この新しいタイプのスクイーズを代表するブランドのひとつが、中国発の「Mellojoy(メロジョイ)」です。
日本でも非常に高い人気を集めており、その入手難易度は、シールにおける「ボンボンドロップ」をも凌ぐほどと言われています。

中国系スクイーズでは、他にも「MoMo」「taonini」「LUCKCAT」「文清」「pupuland」などのブランドが知られています。

また、これらのスクイーズは販売方法も特徴的です。TikTokでのライブ配信から、そのままショッピングサイトへ誘導する、いわゆるライブコマース型の販売が主流となっています。

一般的なECサイトで広く販売されるというよりも、ライブ配信やSNSを起点に人気が広がっていく点は、現代ならではの新しいビジネスモデルと言えるでしょう。

意外と使われない「オノマトペ」

ネーミングの観点で特徴的なのは、感触が大きな訴求ポイントであるにもかかわらず、意外なほど「オノマトペ」が使われて“いない”点です。

中国発のブランドが多く、日本語の感覚とは異なるため、ある意味では自然なことかもしれませが、日本向けに名称をローカライズする動きもほぼ見られません。

先述の「Mellojoy」は、「Mellow(柔らかい・まろやかな)」を想起させる英語的な響きを含んでいますが、その他のブランドでは、感触そのものを直接表す言葉すら使われていないケースも多く見られます。

これは、TikTokを中心とした販売方法の特殊性や、ターゲット層が比較的明確であることから、単純な「わかりやすさ」よりも、「ブランド感・固有名詞感」「ファッション性」「SNSや日常会話での話題にしやすさ」が重視されているためと考えられます。

つまり、「ぷにぷに」「もちもち」といった感触のわかりやすさよりも、ひとつのブランドとして語りたくなる名前であることが重要視されているのです。

「従来のスクイーズとは異なる」ことを表現する場合、オノマトペをあえて使わないことが、ひとつの主流になっているとも言えるかもしれません。

日本企業からも同様のタイプのスクイーズが登場し始めており、最近では「SloMood(スロームード)」というブランドも話題になっています。
こちらも、やはりオノマトペを使用していません。

もちろん、オノマトペを使用することが間違いというわけではありません。
日本発のブランド「ぷにっこ」も人気を集めています。
むしろ現状では、オノマトペを使用していること自体が「日本メーカーらしさ」のアイコンにもなっており、スクイーズに詳しくない人でも親しみやすく、手に取りやすい印象につながっていると考えられます。

スクイーズのネーミングは、単に感触を説明する段階から、ブランドとしての世界観や話題性をつくる段階へと移りつつあります。
小さな玩具の名前にも、いまの消費行動やSNS時代のブランドづくりが色濃く表れているのです。