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VOL.15
(1998.05)
不動産ネーミングの権利保護について
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不動産物件は商標に該当しない? それではその対策は?
1.不動産ネーミングの権利は何でプロテクトするべきか
マンションや一戸建て住宅などの住居名、ショッピングセンターや遊技場などの商業施設名、地下街や複合施設などのゾーン名など、不動産にかかわるネーミングは最近ますます増加しています。にもかかわらず、商標法においては、物件としての商品商標では不動産の該当する類が存在しないのが現実です。比較的近いジャンルでは国際分類の19類に建築用の部材や材料、建造物組立セットなどがありますが、これらはあくまで不動産の一部であって建物全体につくネーミングに該当する類は見あたりません。
しかし、該当する類がないからといって、全く商標出願・登録をしないのでは他社が同じネーミングを使用した時にプロテクトする手段がないことになってしまいます。そこで実際に数多くの大手建設会社や住宅メーカーなどが行っている手段としては、不動産のネーミングをサービスマークとして出願・登録するという方法があります。
2.サービスマーク(役務商標)について
サービスマーク(役務商標)とは、商標の種類のひとつです。商品商標が物体としての商品そのもののネーミング(例えば車や食品、衣類など)を指すのに対して、サービスに対してつけられるネーミング(例えば銀行や保険のサービス、旅行代理店のサービス、ホテルやレストランのサービス)を言います。サービスマークというネーミングから、よくロゴマークや図形商標と混同されますが、文字商標もこれに含まれます。日本では最近までサービスネーミングの商標登録が認められていませんでしたが、平成4年に新しくサービスマークが施行されてから数多くのネーミングが登録されています。
3.どの商標分類で登録するべきか
さて、上記したように数多くの建設会社や、住宅メーカーがサービスマークの分類で商標出願・登録をしています。そしてその商標分類は、主に36類と37類です。
36類は主に建物や土地の管理、貸与、売買などで、37類は建築工事一式の分類になります。例えばマンションのネーミングの場合、そのマンションの売買・貸与・管理だけの業務であれば36類、マンションの建設工事や増改築も合わせた業務であれば36,37類両方で出願・登録されていることが多いようです。また一部の複合商業施設などでは、その施設で提供されるサービスだけでなく、売買される商品の商標分類(例えば、食品や被服など)すべてを商標出願・登録されていることもあるようです。
4.商標登録の権利範囲と効力
ネーミングを商標出願した場合、その分類で他社に同一・類似の商標がない場合は登録されます。一度商標登録されると10年ごとの更新で半永久的に権利が得られます。この場合の権利とは、権利者が商標を独占的に使用できる「専用権」と、他人の使用を禁止する「禁止権」を指します。この「専用権」と「禁止権」を侵害するものがあれば、商標権者は使用差し止めや損害賠償を請求できます。
5.まとめ
以上のようなことから、物件そのものに該当する類がないと思われている不動産のネーミングも、やはり何らかのカタチで商標出願・登録をされることが、御社のクライアントの権利を保護することになると思われます。サービスマークに関しては、制度がスタートしてからまだ歴史が浅いため、認知度・理解度も低いのが現状ですが、今後はますます出願件数、登録件数とも増加することが予想されるため、自社のネーミングを速やかに商標調査を済ませた上で商標・出願登録されることをおすすめします
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