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VOL.45
(2002.10)
ネーミングが一般名称化するメリット・デメリット
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■ソニー「ウォークマン」がオーストリアで商標権取消?
有名な商標が一般名称化することがあります。例えばソニーのウォークマン。 ポータブルステレオプレーヤーなどという名前よりはるかにウォークマンのほうが一般名称として機能しています。
ところが、あまりに市場に浸透し一般名称化が進むと一社独占の商標として成立しなくなるということが先日発生しました。 オーストリア最高裁は2002年6月ソニーが1979年から携帯型ステレオプレーヤに使用している「ウォークマン」を今後、独占的に商標として使用する権利を認めないという裁定を申し渡しました。
最高裁はその理由として、あるドイツ語の辞書が「ウォークマン」の定義として、あらゆる携帯型ステレオプレーヤーを指すと記載した例に言及。
これに対して、ソニーが反論をしなかったことを理由に商標権の独占使用を取消ました。
●ネーミングが一般名称的に使用されるメリット
上記の例のように有名な商標が一般名称的に使用されている例は他にもあります。 例えばクリネックス(ティッシュペーパー)、ゼロックス(コピー機)、ジープ(オフロード用自動車)、フリスビー(ディスク型玩具)、ローラーブレード(インラインスケート)、宅急便(宅配便)、ポラロイド(インスタントカメラ)、ホッチキス(ステープラー)、セロテープ(スコッチテープ)などなど。
このように商標が一般名称的に使用されるメリットとしては次のようなものが考えられます。
1.ユーザーに対する商品の認知度が高まる
2.そのジャンルの代表的名称として、他社への優位性を確立できる
3.一般名称的に使用されることで商品の信頼度・ブランド力がアップする
4.商標取得していることで、その名称を独占できる
上記の例を見ても「ウォークマン」といえば誰でもその商品をイメージでき、他社の商品に先んじて自社商品をアピールでき、同時にブランド力も構築できるメリットがあります。
●ネーミングが一般名称的に使用されるデメリット
上記のようにネーミングの一般化はメリットが多いように思われますが、一般化が進みすぎると意外なデメリットも多く生まれてきます。
1.一般名称になりすぎることで、ブランドとしての価値が低くなるケースがある
2.あまりにも一般名称化が進むと、商標権の取消など一社の独占使用が認められないケースがある
3. 他社の商品の品質までが、そのネーミングの評判として反映されることがある
(例えば、ウォークマン以外の他社が故障の多い製品を出すと、ウォークマン全体の評判にまで影響するなど)
●一般名称に近いネーミングのブランド育成と対策
最近では商品特長をストレートに語るネーミングが増えています。 あえて商標権をとらずにネーミングを使用しているケースも見られます。
ただ商標出願をしていないと、そのネーミングが有名になってから出願してもすでに一般名称化しているため商標登録が認められないケースもあるので、たとえ一般名称的なネーミングであっても商標出願しておいたほうが得策といえるでしょう。
また類似商標に対する抗議・申し入れなどで「ブランド」を保護することも大切です。
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