 |
  |
|
 |
VOL.52
(2003.07)
中国で「青森」が商標登録されていた？
− 中国市場でのネーミング事情について−
|
 |
最近、世界的にもその巨大なマーケットが注目されている中国。
中国は別名「模倣品大国」とも言われ、その高い技術力から一見しただけでは模倣品とは分からない商品を多く産み出しています。そんな中で中国進出を考える日本企業で商標問題をめぐって多様なトラブルが発生し、関係者は対応に追われています。
■中国で「青森」が商標登録されていた？
平成15年6月、広州の中国企業が「青森」という商標登録を申請。登録が認められれば青森産を名乗った中国への輸出ができなくなる恐れがあると台湾の法律事務所から青森県のリンゴ販売会社に連絡がありました。内容は同年4月の中国の官報に、広州市の知的財産を扱う会社が、果物や花などの分野で「青森」の商標申請をしているとのこと。
公告から3ヶ月以内に異議申し立てをしなければ、登録商標として認められ「青森」と表示した商品を中国で販売すると、商標権侵害を構成することになります。中国の商標法では、広く知られた外国の地名は商標として登録できないとの規定があり、この登録を排除できるかどうかの点、および青森県のりんご等について「青森産」と使用し中国で販売できるかどうか、との点が騒がれたわけです。
その後の報道によれば、7月に青森県からの商標登録の撤回を求められる異議申し立てが中国商標局に受理されたということです。これにより、今後１年半から2年で決定が出ることとなります。
青森県は異議において「青森は世界有数のリンゴ産地として中国の人々に認知されている」として主張していく予定です。
また、中国商標法では原産地表示を保護する規定があり、異議が認められない場合も青森産の商品に「青森産」と付する行為は当該規定により保護されうるとも解釈できます。
■王子製紙が「王子」の名称を使えない？
王子製紙では上海市に感熱紙を加工、販売する子会社を設立。平成14年１月から現地での生産に踏み切りました。間もなく感熱紙を卸した販売業者から「王子」の商標が現地で既に商標登録されていることがわかりました。王子製紙では対応策の検討に迫られているということです。※読売新聞：平成15年1月の記事より抜粋
■ダイハツディーゼルが「DAIHATSU」の名称を使えない？
ダイハツディーゼルは平成12年9月にドイツのハンブルグ市で開かれた船舶用エンジンの見本市で、上海市のメーカー「力順」が出展したフェリー用エンジンに「DAIHATSU」の文字が印刷されていることを確認しました。本来なら商標侵害にあたるところですが、ダイハツディーゼルが中国での商標を取得していなかったため訴訟を起こす権利は認められませんでした。その後ダイハツディーゼルでは平成15年中に中国での商標権を「力順」からダイハツディーゼル側に移す予定です。 ※読売新聞：平成15年1月の記事より抜粋
■今後の対応と対策について
今後中国市場に進出する企業には、まず中国での商標調査などを事前にチェックし、同一や類似の商標の有無をチェックする必要があります。
調査の結果同一、または類似の商標がなかった場合は即座に中国で商標出願をすることが大切です。出願の際には同一の商標だけでなく、例えば漢字の商標やその漢字の中国読みにあたる英文字など幅広く出願する必要があります。逆に同一や類似の商標があった場合は新たに別の商標を検討することも必要です。またその商標が中国で著名性が立証できるケースや悪意による登録が立証できるケースでは異議を申し立て、先願の商標を取消すことも可能です。
ただ現時点では異議申し立ての手続きをしても約2年の期間を要するのが実情のようです。
NNRでは中国の商標問題にも詳しい弁理士事務所と提携しており、いつでもご相談に応じることができます。
※DAIHATSU DIESELはダイハツディーゼル株式会社の登録商標です。
※OJI PAPERは王子製紙株式会社の登録商標です。
|
| NEWSLETTER
TOP | BACK | NEXT |
|
|
|
 |
| Copyright © Nihon Naming & Research co.,ltd. |
| |
|
|
|
