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VOL.55 (2004.3)
市町村合併で「南アルプス市」など
新感覚ネーミングも誕生。
最近、少子化や国と地方の三位一体改革などのさまざまな問題から、全国で市町村の合併が急増しています。旧地名の一つが、そのまま合併後の新市町村の名称になることも多いようです。
合併後の新名称には、「南アルプス市」などの新感覚ネーミングも登場しています。
今回はこの市町村名と商標との関わりや問題点などについて考察してみました。

■最近の市町村名の傾向
この市町村合併にともなう新名称は、下記のいくつかのパターンに分類できます。
・「カタカナ新感覚型」 → 南アルプス市(山梨県)、ニセコ市(北海道)、マキノ町(滋賀県)
・「ひらがな親しみ型」 → さいたま市(埼玉県)、にかほ市(秋田県)、ひらなみ市(岐阜県)
・「漢字+ひらがな型」 → 南あわじ市(兵庫県)、東かがわ市(香川県)
・「従来市の代表型」 → 静岡市(静岡県)、新潟市(新潟県)、福山市(広島県)
※今後、合併予定の市町村名を含んでいます

■市町村名と商標登録について
今後次々と実施されていく市町村の合併で、新市町村の名称の商標化に注目が集まっています。
市町村名と商標の関連ですが、原則として市町村名は地名・産地などのあらわしで、商標としての識別力がないため、商標登録できません。例えばリンゴで「青森」や、みかんで「和歌山」、ぶどうで「信州」などです。

■市町村名と商標登録の例外
通常、市町村名は地名・産地名として識別力がないため、そのままでは登録できないことが原則です。ただ「夕張メロン」・「神戸コロッケ」のように長期間の使用実績から商標登録を認められたケースもあります。また、「南アルプス市」での登録はありませんが、「南アルプスむら」「南アルプス」「南アルプス名水」など南アルプスを含む商標が二十数件登録されています。他にも市町村名や地名が商品と関連性がないため登録されているケースもあります。

■市町村名の今後の使用と問題点
ネーミングとして、市町村名・地名+顕著性のある言葉との組み合わせなどで登録できる場合があります。また市町村名・地名のみでも場合によっては登録されるケースがあるので、積極的に商標出願をすることをおすすめします。特に名産品や農産物、魚介類など、出所を明確にする目的のためにも、商標化で権利を取得されることが重要だと考えます。


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