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VOL.59
(2004.7)
「おいしい牛乳」で明治と森永が同名対決? |
02年春に業界首位の明治乳業が発売した「明治おいしい牛乳」と業界2位の森永乳業が今春発売した「森永のおいしい牛乳」。一見同名なのに「まねた、まねない」で問題化する気配はありません。両社の商標登録状況はどうなのか、今後の問題点などについて考えてみました。
■「明治おいしい牛乳」の場合
明治乳業は02年の春に「明治おいしい牛乳」を発売。同社の牛乳商品としては初めてテレビCMを展開し、04年3月期の売上高は牛乳事業の約2割、約350億円に達するヒット商品になりました。商標出願は「明治乳業おいしい牛乳」で02年の5月に出願され03年の1月に登録査定を受けています。
■「森永のおいしい牛乳」の場合
一方、森永乳業は03年秋から関西地区で先行発売し、04年3月末から全国発売しました。
しかし、「森永のおいしい牛乳」では商標出願はされていません。ただ関連商標として98年に「ひまわり村のおいしい牛乳」を商標出願し、99年に登録されています。また93年に「おいしい低脂肪牛乳」を発売しているので「おいしい牛乳」の本家は当社であると強調してます。
■「おいしい牛乳」だけでは商標登録できない?その対策は?
「おいしい牛乳」は牛乳の商標分類では、おいしい=品質表示、牛乳=商品そのもので、商標としての識別力がなく、そのままでは商標登録できないと考えられます。参考のため牛乳の商標分類で「おいしい牛乳」を含む検索すると、上記の商標以外に次のような商標が存在します。
「わが家の/おいしい牛乳」 日本ミルクコミュニティ梶@99年登録済み
「北海道保証おいしい牛乳」 北海道保証牛乳梶@01年登録拒絶査定
「環境にやさしい/おいしい/牛乳」 全国農協乳業協会 02年登録拒絶査定
この例(明治、森永の例も含む)で見ると、「明治乳業」、「ひまわり村の」、「わが家の」は識別力があり、「北海道保証」や「環境にやさしい」は識別力がないと判断されたと思われます。一見、商標の識別力(登録性)がなく商標登録できないと思われるネーミングでも、他の識別力のあるワードと結合することで商標登録が認められることがあります。積極的に商標出願し登録することで権利化されることをおすすめします。
■商標識別力(登録性)のないネーミング
商標として識別力のないネーミングはそのままでは登録できないデメリットもありますが、意味がストレートに伝わりやすいなどのメリットもあります。なかには使用し続けることで商標としての著名性が高まり商標登録を認められたものも存在します。
・商標識別力のないネーミングの例 : はちみつレモン、とろけるプリン、甲州ワイン
・商標識別力がないが使用実績により登録された例 : スーパードライ(品質表示)、
神戸コロッケ、ジョージア、ケンタッキーフライドチキン(地名)
商標登録では様々な複雑なケースがあり専門家でないと判断できない問題も多く存在します。NNRでは商標問題に強い弁理士とともにみなさんの質問をお待ちしております。
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