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VOL.68
(2005.9)
商標「自由学園」は著名な略称か? |
学校法人「自由学園」(東京都)が商標「国際自由学園」という校名を商標登録した学校法人「神戸創志学園」(神戸市)に対し、登録の取消を求めた訴訟の上告審判決が最高裁でありました。最高裁では「教育関係者を始めとする知識人の間でよく知られているのであれば、全国の学生等の間で広く認識されていないことを主たる理由とした東京高裁判決を破棄し、知的財産高裁に審理を差し戻しました。
■著名商標を含んだネーミング
商標法では、人格的利益を保護することを目的として、他人の名称や著名な略称を含む商標は登録できない、と規定されています。自由学園は1921(大正10)年、女性ジャーナリストの草分けの羽仁もと子氏と夫の吉一氏が、女子の中等学校として創立。現在は就学前教育から、大学に相当する「最高学部」までの一貫教育を行っています。
一方の国際自由学園は神戸創志学園が86年に、ビジネス専修学校として開校。96年に特許庁に商標として出願し、98年に登録されました。これを知った自由学園は「紛らわしい」として商標登録の抹消を求めて審判を請求していましたが、退けられたため東京高裁に提訴していました。
■業界では著名(周知商標)
最高裁は「ある略称が、本人を指し示すものとして一般に受け入れられていれば、他人が商標登録できない著名な略称に当たる」との判断を示し、「『自由学園』は上告人を指し示すものとして一般に受け入れられていたと解する余地もあるということができる。」と言及しました。このため、差し戻し審(知的財産高裁)では、商標登録を無効とする逆転判決が言い渡される公算が大きいと思われます。全国的に有名ではなくても、特定の地域や、特定の業界において著名な商標を周知商標と呼びます。今回のケースでは、教育業界において「自由学園」というネーミングが著名な略称と判断されたものです。
■知的財産高裁とは(※同所ホームページから抜粋)・・・・・・
知的財産高等裁判所は、知的財産高等裁判所設置法に基づき、平成17年4月1日、特別の支部として、東京高等裁判所に設置されました。知的財産高等裁判所が設置されるに至った背景には、「知的財産立国」という言葉に象徴されるように、知的財産の創造、保護及び活用を図る様々な施策が国の重要な政策として位置付けられているということがあります。裁判所としては、知的財産をめぐる紛争について、充実した審理を行い、ハイレベルの専門的知見を踏まえた適正な判断を迅速に行うことにより、知的財産権の保護を図るとともに、その裁判情報等の成果を内外に情報発信していくことが、自らに課された重大な責務であると考えております。個々の事件の適正、迅速な処理に努めるという司法の原点に思いをいたし、知的財産高等裁判所に対する皆さま方の御期待に沿えるよう、着実に歩みを進めて参りたいと考えております。
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