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VOL.69 (2005.11)
「のまネコ」?「モナー」?ネット上のキャラクターは誰のモノ?
2チャンネルvsエイベックス
■事件の発端からこれまでの流れ
「のまネコ」とは音楽配信会社「エイベックス」が2005年に発売して大ヒットを記録したシングル「恋のマイアヒ」に使われていたキャラクターのネコの名前です。その愛らしさや、時代性をとらえたおもしろさから、曲のヒットとも相まって人気になりました。
ところが、ヒットすればするほど、主に「2ちゃんねる」の住人(ネット掲示板の利用者のこと)から「エイベックス」あてに、猛烈な抗議が殺到し始めたのです。実はこの「のまネコ」、「エイベックス」のオリジナルキャラクターと思っていたら、とんでもない。前述の「2ちゃんねる」の住人なら誰でも知っている、あるキャラクターにそっくりだったのです。それが「モナー」です。「モナー」は「おまえもな〜」というネットの住人の口癖から生まれたと言われている「2ちゃんねる」の掲示板に登場する人気のキャラクター(アスキーアート使用)です。抗議のポイントは『「2ちゃんねる」の掲示板という不特定多数が関与し、著者が特定できないメディアでの人気キャラクター→「みんなのもの」を「エイベックス」という特定の一私企業が勝手に模倣して、独占使用し、利益を享受するのは許されない』というものでした。

■事件のその後と経緯

事態の深刻さにやっと気づいたエイベックスの松浦社長はマスコミを通じて謝罪し、事態の沈静化につとめようとしました。しかし、事態はおさまらなかったのです。この時点で、ようやくエイベックス側も事態の本当の深刻さに気づいたのかもしれません。何しろ度重なる謝罪にもかかわらず、事態はいっこうに沈静化しなかったからです。このあたりから、マスコミ、テレビや新聞、そして週刊誌あたりが「のまネコ騒動」をメディアで取り上げるようになりました。
★このころのヤフーのニュースでは「エイベックス松浦社長謝罪も批判沈静化せず」との見出しでこの問題をとりあげています。(2005年10月7日)

■この事件のポイントと教訓

いろいろ世間を騒がせ、何かと話題になった今回の「のまネコ騒動」ですが、いくつかのポイントがあるように思われます。
1.「著作権者を特定できないネット著作物の利用や出版、商標登録はリスクがある」
2.「ネット掲示板の書き込みはみんなのもの。特定の個人や企業のものではない」
3.「上記のスタンスから、ネット掲示板の書き込みやキャラクターを個人や企業が勝手に
使用・模倣し、それを出版・商品化することは好ましくない」
などが考えられます。
この「のまネコ騒動」にはこれ以外にも企業の倫理観、著作物に対する意識の問題、オリジナルと類似品の問題など、さまざまな教訓がつまっているように思われます。

■よく似た事例:京セラ「京ぽん」、タカラ「ギコ猫」etc

上記の事件とよく似たケースとして京セラのいわゆる「京ぽん事件」と、約3年前におこったおもちゃメーカー・タカラの「ギコ猫騒動」があります。
このうち、「京ぽん」事件に関しては、京セラが発売したフルブラウザPHS(正式名称「エアエッジホン」をネット掲示板の住人たちが勝手に「京ぽん」と呼び始め、それがあまりに普及したため、京セラが正式に「京ぽん」を商標出願・登録したものです。
こちらは最初から京セラの商品であったため、結果的にネットユーザーからも容認されました。
一方、「ギコ猫騒動」は2002年におもちゃメーカーのタカラが当時ネットユーザーのあいだで人気のあったアスキーアート・キャラクター通称「ギコ猫」をネットユーザーの承認なしに商標出願・登録しようとしたため、ネットユーザーの猛反発を受けた事件です。その後タカラは「ギコ猫」の商標出願を取消しました。


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